淑徳大学の開学と建学の精神
淑徳大学は、社会福祉への関心が今日ほど社会的に高まっていなかった1965(昭和40)年に、時代を先取りして、社会福祉学部社会福祉学科の単学部単学科の大学として開学しました。その目的は、「社会福祉の実践を通じて『ひとりひとりの自立と社会の連帯』の実現に貢献しうる人材の育成」にありました。
淑徳大学は、大乗仏教の理念を建学の精神としております。"together with him"の実践を通じての理想社会の建設と真実な人間の育成」をめざすものです。つまり、仏教でいう自利利他の精神であり、今日の「共生」の思想といえるでしょう。この共生とは、人間と人間の共生にとどまるのではなく、人間と自然との、およそ「いのち」あるものすべてとの共生という意味です。
ひとりの「いのち」が、他の一切の「いのち」と深いところでつながっていることに気づいたとき、人は自他の「いのち」の尊厳を自覚できます。その尊い「いのち」を自他の自己現実に向けて燃焼させること、これが「自利利他」の意味です。この背後には、自己の「しあわせ(いたみ)」と他者の「しあわせ(いたみ)」はその根本において別々のものではないとする考え方があります。
学祖・長谷川良信は、社会福祉のありかたを、「for him(彼のために)ではなく、together with him(彼と共に)でなければならない」とし、これは淑徳大学の福祉教育の理念に据えました。福祉を宗教および教育と一体なものとして、実現しようとしたのです。そのめざすところは、ひとりひとりの自立を支えるような理想社会の建設と、それを担う真実な人間の育成です。
淑徳大学の共生の思想の原点は、社会福祉の教育とその実践のなかに置かれています。「福祉」とは人びとが「幸福であること」、社会福祉とは社会的な手段や方法による「福祉」の実現という意味です。
「福祉」は、幼な子や高齢者、障がい者をはじめとしたさまざまな人びととの連帯と、すべての「いのち」あるものとの共生によってはじめて実現される、という思いは開学以来、連綿と続いています。
淑徳大学は時代の要請に応え、総合福祉学部、総合福祉研究科(千葉キャンパス)、国際コミュニケーション学部、国際経営・文化研究科(みずほ台キャンパス)、看護学部(千葉第2キャンパス)を順次開設しています。
総合福祉学部の開設と福祉社会の実現に向けた建学の精神の展開
現在、わが国においては社会のさまざまな問題が顕在化しています。少子高齢化、国際化、価値の多様化などが急速に進展し、男女共同参画型社会の実現、環境問題の深刻化、地域社会における外国人との混住化、地域における孤独死の問題や、今までにない非行、犯罪等社会病理の蔓延の状況がいっそう顕著となりつつあります。そうした中で、社会全体が福祉共生社会の構築を必要とし、あらゆる面で福祉とのかかわりを構造的に持たざるを得ない時代となっています。
このような状況を鑑み、2005(平成17)年、開学当初の社会福祉学部は総合福祉学部に改称されました。人と社会の営みを総合的に捉え、問題解決の糸口を探ろうとする決意の表れです。社会福祉学科、人間社会学科、実践心理学科の3学科体制によって次の福祉社会を担う人材の育成ため、多様な学びの展開をはかっています。
大学院は社会福祉学専攻、心理学専攻の2研究科からなり、的確な時代認識と未来予測にのっとり研究が進められています。
国際コミュニケーション学部の開設と建学の精神の地球規模での展開
世界の政治・経済・社会・そして文化的環境は大変化のただ中にあります。グローバル化・情報化が急速に広がり、相互依存が深まる今日の世界で、変動の波は世界の国々と人びとの生活に重大な影響をおよぼしています。
このような環境の下で日本に期待されるのは、新しいパラダイムに立った「社会と人の心の開国」といえるでしょう。これは明治の政治システム、昭和の経済システムの開国につづく"第三の開国"ともいうべきものです。
この新たな事態に対応するためには何が必要か。日本の若者には、価値の多様化した世界に自らを組み込み、異文化との交流を積極的にはかる能力が求められる時代です。そのために異なる他者と積極的に対話し、世界の共生化の実現に寄与する能力と実力を身につけることが期待されています。
淑徳大学は、こうした新時代の付託に答えるため、1996(平成8)年、国際コミュニケーション学部を開設しました。経営と文化とを人のコミュニケーションの横糸で結び、共生の理念に立ったグローバル・コミュニケーターの育成を主目的とするこの学部は、建学の精神である共生の理念の地球的規模での展開を担うものです。
看護学部の開設と建学の精神の深化
高齢化社会の到来により、医療分野において新たな課題が生じてきました。老年看護やターミナルケアの問題、キュアからケアへという流れがあります。ケアには、人間存在がもともとケアしあって生きていくことで、その人らしくなるという意味があります。したがってケアとは、看護の原点になるものです。
しかし今日、肝心の看護現場では人が不足し、質量ともにすぐれた看護の人材養成が喫緊の課題となっています。そうした中、福祉を究めてゆく淑徳大学として、看護領域へのアプローチは建学の精神のさらなる展開として当然の帰結でした。
2007(平成19)年に開設した看護の教育ビジョンは、医療と福祉の交点を求めるところにあります。医療が対象にしている患者さんは、同時に一人の生活者でもあり、そこには自ずと福祉の視点が求められているからです。
これからの看護は医療行為の面からだけでは捉えられなくなります。看護技術に加えて、Quality of Life、つまり、その人の生きてゆく生活の本質を見据えた対人援助力が求められています。
ケアという観点からいえば、淑徳大学には40年以上にわたる社会福祉教育の実績があります。いうなれば「福祉の淑徳」による「淑徳の看護」をめざして、その人材育成に邁進するものです。
コミュニティ政策学部の開設と建学の精神への回帰
産業・雇用、教育、福祉、環境、安全等、あらゆる領域において、現代社会の問題は複雑・多様化しており、従来型の中央主導ではなく、地域が主体性を発揮した問題解決が求められています。中央から地方への流れはますます加速していくことでしょう。
一方、国や地方自治体の財政は厳しさを増し、さまざまな公共サービスへの影響が避けられなくなっています。市民生活の安心・安全を支える役割はもっぱら行政が担ってきましたが、そのモデルが崩れつつある今、市民レベルでもしっかりと役割を果たし、政策・立案にかかわっていくことが必要です。
かつて、学祖が行ったセツルメント(隣保事業)も、行政の手を借りない地域支援活動でした。地域に学び、地域に貢献するという姿勢は、本学の歴史の中に脈々と流れているものです。
こうした社会的ニーズや本学の伝統を基盤に、2010(平成22)年、コミュニティ政策学部を開設しました。まさに本学が開学以来目指してきた「社会開発」、つまりは地域(コミュニティ)の問題発見・解決を主導的に担う人材を育成することが目的であり、実学教育をいっそう進化させた未来志向の学部です。
ここでは行政・企業と連携した「参加型・双方向型・体験型授業」をはじめとする、今までにない教育を実践していきます。






























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