2014年9月アーカイブ

歴史学科の三宅です。この夏は3週間にわたりモンゴル国で発掘調査をしてきました。

場所はヘンティー県というところにあるアウラガ遺跡。ウランバートルから草原の中を東へ260km、デリゲルハーン郡に遺跡はあります。

アウラガ遺跡はチンギス・カンが本拠地を置いた都市遺跡で、モンゴル・日本の共同調査隊が、毎年発掘を続けています。今年はその13回目の調査。

今回は土壁に囲まれた住居の跡を調査しました。住居の中には、三方向の壁に沿って、土を突き固めて漆喰を塗ったベッドのような遺構が確認されました。当時この住居に住んだ人がここで休んだのでしょう。このような固定式の住居が、遊牧帝国の本拠地にあったというのはちょっと驚きです。おそらく漢人など定住生活をしていた人々が住んだものと思われます。

遺物は、鉄の釘や鍋、銅銭、当時の人が食べたと思われる動物の骨などが出土しました。住居に住んだ人々の生活を物語る、貴重な資料です。

今年はテレビの取材がありました。調査の詳しい様子は近々放映されると思います。乞うご期待!

 

 

 

 

 

 

 

 

皆さんこんにちは。歴史学科の教員、森田です。歴史学科の自主ゼミとも言うべき「史跡散歩サークル」の顧問をやっています。

 

今回は、夏休み特別企画で、日の出桟橋から水上バスに乗り、墨田川を浅草まで向かいました。今回のクルージングは、江戸時代に水上交通の大動脈として機能した墨田川を実際に船で進みながら、かつて江戸時代に架かっていた橋や両岸に存在した大名屋敷・蔵などの位置を確認し、「水の都、江戸」の一端に触れることです。

 

わずか35分のクルージングでしたが、学生諸君はさまざまな刺激を受けたようです。たとえば佃島。

 

墨田川の河口にあるこの島は、摂津国佃村から漁師が移住してきて干潟を埋め立てることによってできた島で、佃島に住む漁民達は徳川将軍家に白魚を献上する役割を担っていました。

 

今は橋が架かっていて、実感がわきませんが、1964(昭和39)年までは渡し船が運航していて、戦後間もない頃は銀座のカフェで働いていた女性がたくさん住んでいたようです。

(池波正太郎『江戸切絵図散歩』新潮文庫 1993年)。

 

船が中央大橋の手前にさしかかったところで、後ろを振り返ると、近代的な高層マンションが林立しています。その足下に目を向けると陸地が三角形になっている。まさに島の先端部分。写真をとっていた私は、思わず学生諸君に向かって、「早くこっちに来い!」と叫びました。

 

歴史的景観との出会いは一瞬なのです。墨田川に架かっている永代橋、新大橋、両国橋、吾妻橋、そして千住大橋。

 

江戸五橋と呼ばれたこれらの橋を四つまで船で通り過ぎました。『江戸名所図会』のコピーを読みながらの船の旅は格別です。

 

浅草で上陸してからは、浅草寺、すみだ郷土文化資料館を経て、最後は牛島神社。自分の身体の痛いところと同じところをさすれば治ると信じられている石造の「なで牛」に触れながら、学生諸君はみな満足そうな顔をしていました。



皆さんこんにちは、歴史学科の森田です。今年度、最後のオープンキャンパスは、『新編武蔵風土記稿』という幕末に幕府によって作られた地誌を読み解くことで、どのような歴史が浮かび上がってくるのか、この点についてお話しました。

 

大前提として皆さんにお話しておかなくてはならないこと。今の東京都の範囲がそのまま、江戸だったわけではありません。たとえば、山手線の沿線、渋谷・新宿・池袋はすべて江戸近郊の農村でした。しかもこれら3つの村は、すべて豊島郡だったのです。もちろん板橋も。

 

その中で板橋について『新編武蔵風土記稿』にはどのようなことが書かれているのか。そこは、宿場町として賑わっていました。日本橋を起点にして中山道を京都へ向かう街道の最初にある板橋宿は、江戸から旅立つ人を送るための宴が行われた場所であり、長い旅を終えてまさに江戸に入ろうとする人を家族や親類縁者、地域の人々が出迎えて、無事の帰還をお祝いする会が行われた場所でもあったのです。

 

その板橋宿の近くに安養院というお寺があって、そこにはかつて武田信玄が所蔵していたお釈迦様の仏像があると書かれています。イラスト付きで。そして、その仏像は、今も安養院にあって、板橋区の指定文化財にもなっているのです。

 

武田信玄の手元から、武田家を滅ぼした徳川家康へ。さらに紀州徳川家を経て、板橋のお寺へ。まさに流転の仏様。その背後にどのような人間模様が展開したのでしょうか。

 

『新編武蔵風土記稿』は単なる地誌ではなく、幕末という時点での江戸近郊農村のさまざまな情報が詰まっています。それを読み現地を歩くことで、江戸近郊農村の知られざる歴史が浮かびあがってくるのです。

 

体験授業を聞いた高校生の皆さんからは、「1つのことに深く入り込んで研究するということにすごく魅力を感じた」「自分の家の近くについて、興味を持ち深く調査することで、こんなにも歴史を楽しく学べるのだと感じた」などと言った感想が寄せられました。

 

『新編武蔵風土記稿』はさまざまな可能性を秘めている書物です。これを素材に江戸にとどまらない東京都の成立過程のダイナミックな歴史に迫ってみたいと思っています。さあ、私と一緒にフィールドに出ませんか?