2012年9月アーカイブ

千葉ゼミの紹介2

 

 

夏合宿に行ってきました。

九十九里浜の白子温泉のホテルです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



                               

                           ホテル6階の会場から望む九十九里浜

 

 

合宿は初日の昼に集合、3日目の昼食後解散の2泊3日です。

3年生、4年生、大学院生、心理臨床センター研修生、OGなど、総勢23名の参加でした。

 

全員で3日間のねらいを確認するOpening Sessionの後、3年生が初めてファシリテーターを担当したのは、「ほしぶどうのマインドフルネス」でした。

日本では禅宗が発達したために、瞑想といえば坐禅というイメージがありますが、ゴータマ・シッダルダ(お釈迦様)の修行では、歩きながらの瞑想をはじめとして、何かをしながらの瞑想が多数あるそうです。普通の人間の生活では、「黙って座っている」ような状態は、かなり例外的なわけですから、普通の人が普通の生活をしながら、こころ穏やかに幸せに暮らすためにどのような「修行」が可能なのかは、興味ある問題ですね。「何かをしながら」の一つとして、「ほしぶどうを食べる」行為を取り上げるワークは、比較的よく知られているようです。

 

 

  

 

ほしぶどうは、レーズンパンでも、レーズン入りフルーツケーキでも、あまり意識されずに食べていませんか? 今日のワークでは、ほしぶどうのしわの具合、さわった感触、指の上に乗せて嗅いだ香りなど、五感をフルに働かせてほしぶどうを味わいました。口の中に入れた後、舌の上に乗せて転がし、上の歯にぶつけてしばらく転がしてみる・・・・これ以上書くと、実際に体験しないで読んだだけでわかった気になられる方がいてはいけないので、止めにしておきます。ぜひ、ご自分で体験してみてください。

 

ワークでは、体験したことを言語化して参加者の前で表明し、それを全員で共有していくということを大切にします。そこで重要な役割を果たすのがファシリテーターです。

この時は3人の3年生がファシリテーターを務めました。体感することが重要なワークだったのですが、参加者の行動をよく見ていて、ほしぶどうを触った時の表情やら仕草やらをコメントしてくれて、発言した学生は「話して、わかってもらえた」というような安堵の表情を浮かべていました。きっと、ファシリテーター自身がマインドフルにワークをすすめていくことができたのでしょう。

 

進路に向けての先輩の話を聴く時間の後、30分ほどの軽いリラクセーションを行いました。2泊3日のうち、初日・2日目の夕方、2・3日目の朝にリラクセーションを企画しています。初日は、ブリージング(呼吸を感じる)とミラーイング(ペアになって自分と相手の動きを鏡のように合わせてみる)を行いました。

 

2日目の朝は、「五感で散歩」を行いました。「触ってみたら発見!」「鼻を使ったら発見!」「よーくみたら発見!」「耳をすましたら発見!」の4シートのいずれかを受け取って九十九里浜に出ます。15分間それぞれの感覚に注意して海辺で感じたものを書き留めていきます。時間になったら集まり、同じシートを持った者同士でグループになってシェアをして、さらに全体で各グループの報告を聞きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日目午前中のワークは、ACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)の「脱フュージョン」のワークでした。

「色メガネ」のウォーミングアップの後、自分が歩いて行きたいゴールを考え、そのゴールに向かうバスを運転するという、Ciarrochi&Baileyのワークの修正版です。そのゴールに向かおうとするときに浮かんでくる雑念を、バスに乗ってくるモンスターにして、その他の乗客とともに安全にゴールまでバスを運転することを、今回はロールプレイで行いました。迷いの言葉を言い続けるモンスターに対して、運転手は、「できる限りゆーっくり言って」「女性的な声色にして」などの注文をつけることができ、迷いの言葉が、会場全体が笑いの渦に包まれるような雰囲気へと変わっていき、どの運転手も見事にゴールすることができました。

 

 

 

 

 

2日目の午前・午後には、パワーポイントを使った、卒業論文・修士論文の経過報告会が行われました。短い時間で集中して発表し、それぞれの研究の何がツボなのか、今どこでつっかえているのかを、じっくり考えたひとときでした。

 

 

 

 

 

 


芸術療法(問題の壺)

千葉ゼミは、ストレスに関する認知行動的アプローチのゼミなのですが、毎年一定数の学生がアートセラピーをやりたがるので、合宿ではほぼ毎回、何らかのアートセラピーを取り上げています。ことしは、「問題の壺」。壺イメージ療法のバリエーションです。

自分の抱えている「問題」を思い浮かべ、その問題を入れる「壺」の絵を描きます。問題が複数ある場合は、それぞれの問題を入れるのにふさわしい壺を、問題の数だけ描きます。

途中参加のOGを含めて全員が、思い思いのやり方でいくつかの壺を描いていきました。

 

 

 

 

 

 

壺が書き上がったら、今度は壺の片付け方を考えます。絵に装飾を施す人、どこかにしまったり、穴を掘って埋めたり、壊してしまったり・・・

どんな問題の壺をどのように仕舞ったのかは誰にも話しません。最後にこのワークの感想をグループごとに話し合い、さらにそれを全体でシェアしました。終わってみて、結構すっきりした顔の人が多かったのが印象的でした。

(なお、ACTの考え方から解釈すれば、「問題」から逃げずに「壺」という一定の距離をおいて向き合っていき、自分なりの向き合い方をみつけていくのは、午前中のバスのワークでフュージョンのモンスターを乗せたままバスを走らせてゴールまでたどり着いたのと似ていると思われます。)

 

 

 

臨床動作法

2日目には、院生の芳賀さんが福島から駆けつけてくれました。彼女は、東日本大震災で被災した郷里の人たちの力になれないかと考え、地元の中学生のストレスマネジメントとして、希望する中学生に、放課後臨床動作法のてほどきをする活動を行っていて、それを修士論文の研究としているのです。毎月何日か帰省して中学生たちと会って、今回はそれが終わり次第合宿に合流したというわけです。

合宿でも、ゼミ生みんなで動作法を体験させてもらいました。時間があまりとれなかったので、両肩の上げ下げだけしかやれなかったのですが、学部生は春合宿に続いての体験、院生はゼミの時間にも何度も体験しているので、ちょっとは感覚がわかってきたようです。なかには、肩を上げると妙に腕に力がはいってしまい、それを落とすのに四苦八苦、という学生もいて、芳賀さんがあれやこれやとサポートしていく場面もありました。

 

 

 

2日目のバーベキューの一コマ




 

リラクセーション(筋弛緩法)

3日目朝のリラクセーションは、筋弛緩法でした。いったん腕などの身体のある部位に力を入れ、緊張を味わった後で息を吐きながら筋肉を緩めます。緊張の後の弛緩(リラックス)は、普段の状態からリラックスしようとするよりもよりはっきりとリラックスを感じとることができます。腕、肩、顔面、腹、背中、足などを試してみて、リラックス状態の皮膚の温感・血の巡り・呼吸の感覚・気持ちのあり方などを感じとりました。

 

 

 

SST社会的スキル訓練)

SSTは、さまざまな対人関係のスキルを、小グループでロールプレイすることでスキルアップしていく行動療法です。今回のテーマは、(a)身近な人との意見の違いを聞いて互いの意見を確認し、(議論も同意もしないで)そのままにしておく、(b)最近体験した対人関係の問題(あるいは、もっとうまくやりたい課題)でした。

友人や家族との趣味や嗜好の違いはよくあることです。各グループ1名ずつが名乗りを上げて、何となく「私も」などと同意するふりをしてしまったり、あるいは喧嘩になってしまったり・・・といった経験のある場面を再現して、練習に取り組みました。

SSTでは再現場面の対人行動のうまく機能している点をまず確認します。「ちゃんと意見を主張していた」「視線があっていて、気持ちがよく伝わっていた」「相手への配慮もされていた」など、普段見過ごしかねない点も、仲間に言葉で言ってもらうと、少し気持ちも和らぎます。その上で、さらによくなると思われるやり方を挙げてもらったり、他の人に例を示してもらったりした後、自分でも使えそうなやり方にチャレンジして、さらによくなった点をみんなから指摘してもらいます。最後に練習したことを日常生活にどのように活かすかを具体的に考えて一人分の練習を終えます。

SSTのリーダー(ファシリテーター)は、状況をよく見て、余計な間が開かないようにすばやく進行をしたり、参加者からの意見が練習者にうまく利用できるよう、適宜補足をしなくてはなりません。SST自体はみんなが経験者ですが、今回のリーダーは初めてのリーダー体験。結構緊張して取り組みましたが、先輩の補助もあって、どの練習もスムーズに進み、「思い切って今度やってみます」などの感想も多く見られて、役に立つ練習をサポートできたようでした。

 

 

 

 

 

 

合宿の締めは、Closing Sessionです。Openingで各自のたてた合宿のねらいを記入した用紙を受け取ってふりかえりを行い、全員が一言ずつ感想を言いました。初めてのファシリテーターで前夜までリハーサルをするなどして頑張ったこと、合宿係や渉外係がホテルとの打合せや先輩との連絡などで大変だったこと、都合がつかずに合宿に来れなかった学生が、事前にワークシートを作ったりして協力してくれたことなどそれぞれの思いが披瀝され、合宿係経験者のOGが一緒にもらい泣きするなどの場面もありました。

最後の昼食のあと、お世話になったホテルの方にご挨拶し、全員で記念写真。3日間の合宿を終え、少しほっとしたり、ちょっぴり成長した笑顔と見せて、帰路についたのでした。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

千葉 浩彦(Chiba Hirohiko)です。

 

ゼミのホームページを、この夏リニューアルしました。

http://www.soc.shukutoku.ac.jp/chiba/

今まで書いていた内容を、3年の高浦さんが、ほぼ全面的に書き換えて、すっきりしたWEBにまとめてくれました。

 

教員の紹介もそちらにありますので、ここでは簡単に。

臨床心理士で、(認知)行動療法が専門で、うつ病、不安障害、虐待、PTSD等々の個人・集団の心理療法を対象として、そうした関係の学部や大学院の授業を担当しています。

 

ゼミのテーマは、 「ストレス アクセプト&コミット研究」。

人生のさまざまなストレスに際して、逃げずに、うまく向き合っていき、うまく対処していく自分らしいやり方を身につけていくことを指します。

 

 

ところで、大学のゼミのイメージってどのようなものでしょう?

こんな感じですか?

 

 

 

 

これは2011年の春合宿で、4年生が卒業論文の計画発表をして、ディスカッションをしているところです。

そう、千葉ゼミでは、春の連休と夏休みに、それぞれ2泊程度の合宿を毎年おこなっています。ただ、3日間の合宿のなかで、研究発表と討論の時間は、3~5時間程度。

 

 

そうか、大学のゼミ合宿って、大半は遊びなんだ!

 

 (2012年春合宿 外房蓮沼シーサイドの朝)

 

 

 

                             (2011年夏合宿 山中湖のスワンボート)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

    (2011年夏合宿のバーベキュー)

 

 

 

                           (2010年夏合宿の花火の一シーン)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・やっぱり?

じゃあこれは、何をしているのでしょう?

 

 

 

これは2011年の茨城県守谷市デュープレックスセミナーホテルでの合宿2日目の朝、ホテル近くの公園を歩いているゼミ生です。やっぱり遊び?

 

いえ、これは「マインドフルな散歩」のワークをしているところなんです。

 

「マインドフル」というのは、お釈迦様(ブッダ)が瞑想をして会得したこころのあり方で、「意図的に、今この瞬間に、価値判断をすることなく注意を向けること」とも説明されています(Kabat-Zinn)。お茶を飲んだり、お手玉のやりとりをしたりしながらでもそうした体験ができますし、もちろん呼吸法を行いながら行うことも多いのですが、千葉ゼミの合宿や、大学のゼミの時間にも、こうした体験をする時間をもつことを重視しています。こうした体験の時間を、(心理臨床の)「ワーク」と呼んでいます。

 

ワークは、主に4年生や大学院生の先輩が企画して、一定の時間に、安全に、意図した体験が得られるように準備されます。この準備をして、体験の際にはワークシートを配って説明をしたり、モデルを示してくれたり、戸惑っているときに相談にのってくれたり、最後に体験の感想を話し合う進行役をしたりする人を、「ファシリテーター」と呼びます。先輩がファシリテーターになって、参加者全員でワークを体験し、その体験の意味を学んでいくのが、千葉ゼミのゼミのすすめ方の重要な部分になります。

 

合宿では、2時間程度のワークを4つほど、30分程度の簡単なワークを4つほど体験するように、ファシリテーターが話し合いをして、ワークシートを作成するなどして合宿全体の計画、個々の部分の役割分担、さらには、宿泊先の選定から連絡調整、合宿に来てくれるゼミの先輩方との連絡調整、リクレーション等の企画や準備などもおこないます。

 

慣例として、春合宿は4年生がファシリテーターや各係を務め、ゼミに入りたての3年生が、安心してさまざまな体験ができるようにきめ細かく配慮を行います。

 

そして、3年の前期のゼミの時間に、さまざまなワークを体験し、またその背景・歴史・関連する研究などを自分たちで調べて発表を行い、夏合宿では、いよいよ3年生がファシリテーターに挑戦します。

 

 

今年も、その夏合宿の季節がやってきました。

 

7月のゼミの時間に、今年はどのようなワークをやるのか、誰がどの役割を担い、全体としてどのような合宿に仕上げていくのか、話し合いを行いました。

 

どんなワークをやるとよいか、自分はどの担当を希望するか、・・・などの意見を前回の合宿を参考にしてどんどん挙げていき、ホワイトボードに書き出しました。この日は、4年生も駆けつけてくれて、3年生の検討の様子を見て、後からアドバイスをしてくれました。

 

こんな雰囲気です。

 

 

挙げられたワークのテーマを、3日間のスケジュールの中に埋め込んでいきます。オープニングのすぐ後は、こんな気持ちだからこっちのワークは向かないとか、どのワークには準備時間がどれだけ必要だからこっちがいいとか、議論をすすめながら、今年の夏合宿のスケジュールが次第に浮かび上がってきます。

 

渉外係は、こうして決まっていった合宿の日程や場所を、院生やOB・OGの皆さんに連絡をして、参加の状況を集約していきます。

 

また、ホームページにもこの結果を更新して、卒業生などにも今年の計画が詳しくわかるように公表していきます。

 

 

では、次回は、こうして準備した今年の夏合宿の様子を掲載することにします。