実践心理学科の最近のブログ記事

問題から逃げるのは基本的に良くない。

問題の状態が変わってなければストレスの原因は変わらないから。



――思ったよりここの心理の学生さん心理に情熱を注いでいる人が少ない気がするので僕は結構びっくりしてる…面白いなって思うんですけどね!

――でも確かにみんな文系から入ってきちゃったりする子が多い。

――そうなんだよね。

 

うんうん。

 

――だからいざ講義を受けてみてギャップというか。

――まあ確かに理系的な話はある。

――驚いちゃってる部分があるので、そこからみんな躓いちゃってるかなっていうのはあります。

 

うん。そうだよね。やっぱり分析的なところがあるからね。客観的分析とかね。

 

――あと生物の話も多いじゃないですか。

――ああ~~。

――脳の構造とかそういうのって文系の人からすると「別にな」って部分があるんじゃないですかね。

――びっくりしました!脳のことまでやるんだって。神経のこととか。

 

僕も生化学者と一緒に仕事したことあるから。ネズミの脳を破壊したり、薬物注入したりして、迷路を走らせて成績はどうなるかっていう…

 

――うわ、結構…

 

一同:…ははは

 

――怖い研究してるんですね。

――いや~~。

 

脳に薬物を注入するとね、成績が上がったりすることがある。

 

――え、薬物をやると成績が上がる?

 

短い時間だけどね。

 

――あ~~。

 

またすぐにダメになる、ふふ。

 

――あはは

 

心理学そういうふうに理系の人とも一緒にできるみたいなところが僕は面白いなって思うんだけどね。でも確かにね、あるところでダメだって思っちゃうと結構苦痛なところが多いかもしれないよね。

 

――うん。

 

脳の仕組みねえ…。神経心理とか面白いと思うんだけど。

 

――入ったときびっくりしたよね。

――ギャップありましたね。

――これをやるのかって。最終的には面白くなったんですけど。

 

僕はそういうのをやるもんだって思って入ったよ。

 

――やっぱり違うんですね。最初の入りが。

 

うん。僕が学生の頃は臨床心理ほとんどなかったから。ないっていうか心理学の主流から完全に外れたものだったので、それであんまり言わなかったよね。あんまり言っちゃいけない雰囲気が漂ってたし。

 

――やっぱり理系の方が多かったんですかね。当時。

 

う~ん。

 

――両方好きな人が入るんですかね。

 

いや、今考えると、心理学自体が自然科学になろうと無理していたところはあると思うんだよね。実験実習は白衣着なきゃいけない時代だったので。それってほとんど医者とか理系の研究者の真似だったと思うんだよね。そういう自然科学もどきみたいなのがあって、それで昔は文系的なものを低く見ていたんじゃないかな。でも実際には、そういう分野もあれば、そうじゃない分野もあるからこそ心理学は広く問題を扱えるんじゃないかなって思うんだけどね。

 

――やっぱり今の時代って、先生が学生だった時と違ってすごく心理に対して社会が寛容になっているというか…。十何人に一人がパーソナリティー障害なる可能性がある状況じゃないですか。先生が学生の時はそういう患者さんの位置づけって今と違いますか?

 

発達障害とかいたんだろうけどまだ命名はされてなかったので。命名がされていないということはそれは気づかれないないということだから。精神障害の中でもかなりコアな部分だけが臨床の対象になってたということはあるんじゃないかな。さっき言ったように心理学自体が自然科学的なものを指向するのが強かったと思うんだよね、当時はまだ。僕が学生の時は基本的に卒業論文は実験じゃなきゃいけなかったから。質問紙だとちょっとなあ…という感じ。

 

――今はだいたい質問紙ですもんね。

 

うん。当然インタビューとかではダメという時代だったので…。そういう意味で変わってきたと思うし。今、心理学は大きく二つに分かれているところがあって、神経心理学とか進化心理学とかますます自然科学的な心理学、一方で臨床っていうので大きく分かれているかな。大学によっては臨床がないところがあるし、外国なんかだとね。これからまた変わっていくでしょうけれども。

 

――確かに母親が子どもの時障害者の方に対する見方とかが全然違ったと言っていたので、今はすごいと思います。

――昔は精神障害というだけで隔離とかされていたじゃないですか。今はカウンセリングで治していきましょうという感じじゃないですか。昔はそのまま隔離されてしまう…。いつから寛容になってきたんですかね。

 

寛容さだけではなくて精神医学の薬物の治療が進んだっていうのが一番大きいと思うんだ。統合失調症はかなり長期に渡ったりとか治らないっていうのが強かったけれど、最近では適切な薬物が投与されれば状態が良くなったりとか。それを続けることによって社会復帰とか、通院で済む場合も増えてきたんで。それはまあ気分障害、鬱とかにも言えるので。さっきの理系と文系っていう意味では、理系的な薬物の治療が進んできたっていうこと、あとは心理療法でも認知行動療法とかでてきたっていうのが組み合わさってきて。そして自然科学的な薬物療法が進んだってことが、社会復帰とか社会的なことも進み、両者は切り離せないところがあるんじゃないかな。今こうやって録音して細かいやり取りを起こすことができるけれども、以前はできなかった。同じように、技術が変わっていくということは、同時に社会や心理学も変わっていくところがあるので。たぶんこれからも技術が進歩してくと、社会の在り方も変わっていくと思う。どういう人を障がい者と呼ぶかみたいなのもね、変わっていくんじゃないかな。

 

――うーん。なるほど。

――質問なんですけど、ストレス解消とかされてますか?

 

僕はストレスの研究もしていたことがあるんだけど。ストレスは、原因があって、反応が出るっていうので。ストレスの発散っていうのは、ストレスの理論には無くて。

 

――ああ。

 

カラオケに行くっていうああいうのはあんまりよくないとされているんです。

 

――そうなんですか(笑)

――知らなかった(笑)

 

問題からそれてしまうので。

 

――なるほど。

 

ストレスの原因を消さないと。

 

――ああ~。

――根本的な解決にはならないってことですか。

 

そうそう。

 

――みんな行ってますよね(笑)

――間違っているんですね(笑)

 

それによって、同じような不満や悩みを持っている仲間同士で互いに俺も大変だよっていう形で共感しあってストレスが減るっていうのある。サポートしあってっていうのはあるけれど。問題から逃げるのは基本的に良くない。問題の状態が変わらなければストレスの原因は変わらないから。

 

――なるほど。

――じゃあ先生は原因と向き合う感じですか?

 

んー、いや。逃げるときは逃げるけどね(笑)例えば日本の会社は終身雇用なので、今言ったような意味では、我慢して上司が変わるのを待つとかそういうやり方があるんだけど。アメリカの教科書を読むとそういう時は転職しなさいって書いてあるんだよね。転職すればストレッサーが無くなるから。

 

――なるほど。

 

だから社会によって違うんだよね。アメリカの研究がそのまま日本では役立たないということがあるので。僕は、ストレスの原因は何か、これは対処できるのか考えて、対処できるとしたらどう対処すればいいかっていうことを考える。そういう意味ではストレス発散はしない。

 

――びっくりしました。

 

カラオケに行っても解決…

 

――しないですね(笑)カラオケ終わった後に考えちゃいますもんね。

 

うん(笑)それだけだとあんまり意味がないかもしれないね。

 

――一時的なものですね。

――学生の皆さんにも教えてあげたい(笑)

 

うん(笑)

 

――カラオケ行っても意味ないよって(笑)

――ブログに書かなきゃ!(笑)

 

そう、だからアメリカと日本では違うように、その社会の中で対処法って違うと思うんだよね。バイトだったらやめれば済むかもしれないよね。それは一つのやり方だと思うんだよね。大学でも嫌だったらやめるっていうのも一つのやり方かもしれないし。やめないとしたら次どうしていくかっていうのをね。先生とうまくいかないんだったら、先生とうまくいくにはどうしていくのかって考えるのがいいよね。心理学を学ぶとこういうことがわかる(笑)対処法を考えなきゃいけない。よく考えるとスポーツ選手なんかはそうやって解決しているよね。プレッシャーとか多い時にどうするか。逃げるってことはしない。

 

――逃げまっくてるな、そう考えると。

――あはは(笑)

 

ふふふ(笑)逃げきれればもう一つの手かなって思うんだけど。

 

――うん、でもまた選択肢として使ってしまう。

 

達成したかったことができなくなってしまうからね。逃げ続けるとね。だから目先の逃げを重視するのか。

 

――ずっと逃げ続けたツケがいつ回ってくるのかってびくびくしてます(笑)

 

ふふふ(笑)

 

――淑徳の学生にむけて何かメッセージをよろしくお願いします。

 

まず心理学は純粋に面白い分野じゃないかなあと。特に人間に興味がある人にとってはかなり面白い分野なんじゃないかなって思います。それにまだわかってないことも多いので、やっていくと、そういうことを明らかにしていく楽しみ方もできるんじゃないかな。心理的なことで悩んでいる人も、考えるきっかけみたいなものは大学に来てわかるんじゃないかな。結構自分で悩んでるとか、そういうので心理学を学びたいって人も多いよね。仕組みをわかったりとか。ああこんなものかって気が楽になったり。

 

――そうですよね、仕組みがわかったら、案外単純なんだって。それがわかったとき怖がっても仕方なかったのかなって。心理学を学んで楽になった気がします。

 

うんうん。

 

――はい、インタビューありがとうございました!先生がインタビューのトップバッターだったんですが大橋先生のお話しとても勉強になりました。ありがとうございました。

――ありがとうございました!




 

どこかで間違えてしまったのかなと、学び方を…。

 

――では個人的に質問です。先生がなぜ心理学の道に進もうと思ったのか聞いてもよろしいでしょうか

 

心理学ね。僕、高校の時は普通科ではなく理数科にいて、理科系に進もうと思っていたのね。

 

――はい。

 

クラスも全員男性で理学部とかそういうところに行って、生物学をやろうと思ってたんだけど、僕の父親が理系で、生物学をやっても食べていけないぞと言われて…。

 

――うはは。

 

それでもっと食べられない分野が心理学だとは思うんだけれども。

 

――うふふ。

 

親は文系をあまり知らなかったので心理学に反対はしなかったので、心理学に進みました。それで人間科学部というのもあって、そういう分野にいきたいなと高校の後半くらいに思って。ただ大学に行ってからも本当に心理学がいいかどうかわからなくて。入ったのが文学部だったので。文学とかもいろいろ読んだりして、そっちも面白いかなと思ったんだけれども。もともと理系だったので数学も不得意ではなく文学にも興味関心があったので、それが両方合わさった形という意味では心理学は合っていた。実験もできるし、ある一方では人間の心理みたいな、ちょうど文系と理系の中間的なところ。動物実験もやったし、供述調書の分析もやったし、そういう両面ができるところが心理学の面白いところかな。だからそういう意味では数学が苦手な人を見ると、もうちょっとできた方がもっと心理学楽しいのになって。

 

――完全に僕ですねそれ。

――私も。

――統計法とかすごい…。

――苦労してた。

 

自然科学的な考え方を身に着けたほうがより楽しめるのかなと。ただ自然科学的な考えだけだと無味乾燥になるので、僕は今言葉に関心があるんだけど、言葉の意味だけじゃなくて、どういう風に人が話すとか、そういう細部に関心を向けると面白いのかな。あとはやっぱり人間がやるいろいろな行動の細かいところとかに関心を持つのが面白いのかなと。細かく見ていくと人間って気づかないうちにいろいろなことをしているので。本人も気づかないようなところに目を向けるっていうのは面白いことだなっていう。ただ動物実験も楽しかったけどね。ネズミの行動を見てるとなんでここで立ち止まるんだとかね。いろいろ考えながら実験したんだけど、それをどうやって記述するかっていうね。そういうのが面白いと思います。

 

――ありがとうございます。

――成功する秘訣…

 

なに?

 

――めちゃめちゃざっくりだな!!!

――先生たちの努力ってわたしたちからすると貴重なお話しだと思うので。その努力を成功させる秘訣を教えて頂きたいなと思って。

 

成功したかどうかっていうのはかなり主観的なものだから…。

 

――確かに(笑)

 

絶対的な成功って言ったらあんまり成功してない気がするんだけど。

 

一同:あははは

 

1つは、例えば英語とか考えてみると、みんな嫌いだっていうんだけど、どこかで間違えてしまったのかなと、学び方を。

 

――うんうん。

 

やっぱり楽しまないと覚えられないので、僕も英語は中学高校とそんなに好きではなかった。さっき言った数学とか理科とかそっちの方が好きだったんだけど、入試でどうしてもやらなくちゃいけないので、やるにはやったんだけどあまり楽しくはなかったんだ。大学で文学部に入ったこともあって周りが帰国子女とか英語の出来る人がいてこれはさすがにやばいって思って、大学1年の夏休みに中学1年の英語から自分でやり直してみて、英語圏の子どもが読むような童話を読んでみたり、中学高校の教科書引っ張りだしてきて暗記するとかしてみて。そうすると大学入るとみんな勉強しないから…。

 

――ふふ。

 

1年の後期とか2年くらいになるともう他の人に追いついたし、英語のペーパーバックも読めるようになったし。そうすると自分が知りたい分野のことを英語で読める、あるいは、まだ日本語に翻訳されてない小説を読むと人に自慢できるし、自分でも面白く読める。あるいは、翻訳の文体よりも英語そのままの方が面白いっていうのに気付いて、そうするとやっぱり面白いなっていう。だから心理学でも英語でも楽しむところまでいかないと楽しくないんじゃないかな。

 

――そう…ですね(笑)

 

やっぱりプロのスポーツ選手でも面白いからプロに行ったところがあると思うんだよね。

 

――うんうん。

 

イチローとか。やっぱり野球が面白いんだと思うんだよね。そういう意味では、せっかく心理学やるなら心理学を面白く楽しむ、学ぶってことを楽しまないとそれがなかなか持続しないのかなって。面白ければ結構持続するんじゃないかな。

 

――確かに。

 

そんな感じがするんだけどね。だからそういう意味で英語は楽しくないんじゃないかなってね。できないと。

 

――あ、でも…楽しくないです。

 

うん、だからどこかで間違っちゃったんじゃないかなと思ってね。あるいは中学高校の勉強で楽しくないっていうのはどっかで間違えちゃったんだろうね。他の教科は楽しめるとこまでいけたので、それほど受験勉強とかすることは苦痛じゃない。っていうのは楽しいから。だから勉強があまり楽しくない人は、楽しくすると意外と楽かもしれない。たぶん就職して仕事しててもそうだと思う。その仕事が楽しいかどうかでだいぶ違うんじゃないかな。

 

――楽しみを見つけるってことですね。

 

そうそう。だから人によっては接客とか楽しいっていう人もいるんだろうし、あるいは営業とかで業績を伸ばすのが楽しいって思う人もいるだろうし。楽しいことで仕事ができたりとか、生活の中でも大きなウエイトを占めればいいんじゃないかな。

 

――そうなんですね。

 

ただそれを成功と呼ぶかどうかだよね。

 

――ふふふ、でもわたしの中でそれは成功です。

 

だから部活動とかでそういう経験をしてる人はいるんじゃないかな。そのスポーツが好きとか、その楽器を演奏するのが好きとか、楽しんでいる…。

 

――確かに部活熱中してる人の方が受験勉強の時に一気にガーってなったりしますよね。

 

うんうん。

 

――確かにハツラツしてる感じはある。

 

だからスポーツへの情熱を勉強の方に持っていく、意外とシフトがしやすいのはどうしたら頑張って楽しむことができるかっていうね。たぶん頑張るのと楽しむのっていうのがセットにならないと頑張れないので、それができるようになる。だからスポーツなんかをやるのはそのコツがわかるんじゃないかな。

 

――なるほど。

 

やったことがない人はそのコツがつかめなくて、苦痛なだけですべてが終わってるんじゃないかな。

 

一同:あははははは

 

――まあそんな感じはします。

 

勉強も嫌々やってたと。スポーツも嫌々だと。すべて嫌々で、ずっと嫌々だと人生も嫌々になっちゃうんじゃないかなと思うんだよね。だからそういう意味では大変だけど、その先に楽しいと経験できたりとか、大変だけど楽しくできるかっていうのがわかれば。金銭的とか社会的とかでは成功しないかもしれないけど人生としては成功なんじゃないかな。

 

――ありがとうございます。

――先生は学生時代部活とかやってたんですか?

 

学生とはいつ…

 

――いつでも!中!高!

 

中学のときはバレー部に。

 

――へえ~~

 

バレー部ではセッターをやってたんだ。

 

――セッター。トス上げる?

 

そう、トス上げる。だけどあんまり身長がなかったので高校に行ってもバレーを続けるのはちょっと、ね。それで高校は卓球に入ったんだけど。でもじきに辞めて。

 

――え~~(笑)

 

そのあとはね、化学部に入ってた。

 

――あ~~

――バケガク?

 

化学部!

 

――ああそういうことか。

 

化学薬品をこう混ぜたりとか…

 

――なるほど。

――爆発させたりとかは…するんですか?

 

同じ学年で爆発させた人はいる。そして大学は早稲田なんだけど。スポーツなんて無理なんだよね。

 

――みんなプロになったりする人達だから。

 

そうそう!もうスポーツはできないから。

 

一同:あははっはは

 

そう、で、絵画!

 

――ああ~いいですね。

 

ただやってみたら自分がそんなに絵がうまくないってことに気づいて

 

――あはは

 

それでもっぱら鑑賞する方に。

 

――あ~~

 

さっきの話でいくと、あんまり部活動では楽しむところまでいってないかもしれない。

 

――ただ美術関係だと結構こだわり出て面白そうな感じなんですけど…

 

いや本当にうまく描けないですよ!

 

――あはは

――いやでも見る方でもなんでも!

 

見る方はね!見る方は面白くって。大学時代に美術の歴史を学んだりして。大学で非常勤で教えてるときに、多摩美術大学で造形心理学を教えたことがある。

 

――そういう学問があるんですね。どんなことを教えるんですか、造形心理学って。

 

物がどう見えるのかっていう話で。そこに、造形心理学のテキストがあって。これをテキストに使ったんだけどね。知覚の心理学や認知心理学っぽい話。それからあとは臨床っぽいもので絵を描いたりする。美術大学の学生だったんで、描画法とかで絵を描いたり、コラージュをつくったり。彼らの話で、あ、話それるんだけど、コラージュはハマるんだよね。

 

――あ~~。

 

すごくいいナイフとか持っててね、すごく集中してやって。あとは描画で人物を描いたりするとうまいんだけど、終わった後に感想を聞くと、すごい面白かったって言うのね。どうして面白かったっていうと大学に入るまで、あるいは大学に入ってからも、彼らは絵を描いたり、コラージュをつくることは勉強や仕事になるので、あるときからどう描いたら人から高い評価を受けるかっていうのでずっと絵を描いてきたと。

 

――うんうん。

 

つまりうまく描くとか、なるべく高い点数が取れるようにという風に描いてきたんだけど。十年ぶりに、人から上手い下手を評価されないで描いたり、コラージュ作ることができて、自分はそういうことがするのが本当は好きだったんだっていうのに改めて気づいたといった感想をもらって面白いなと思ったね。小学校の頃から彼らはやっぱり絵がうまいし、好きな人が多いけれども、、ある時から美術系の大学にいこうと思うと高い点数を取れるような、合格するような絵を描くことをどうしてもトレーニングしないとなかなか受からないんだよね。で、いつしか絵を描くことが苦痛ではないだろうけど。

 

――楽しみじゃなくなっていた?

 

うん。楽しみじゃなくなってきたっていうので。そのときに、久しぶりに楽しかったみたいなことを聞いて、ああ、そうなんだって。面白いなって。

 

――へえ…。

 

確かに受験とか勉強することが競い合いになって、いい点数を取るとかになったんだけど、さっきの話に戻ると、純粋に楽しいって思えるところがあると思うんだよね。だから心理学のレポートを書くのが苦痛だとか、たぶんそれは間違っているんじゃないかなってね。あるいはテストで合格しなきゃいけないっていうのは、変っていうかね。学ぶことが自体が楽しくないと。

 

――確かに。

 

基本的には僕は勉強は楽しいものだと思うんですよね。なかなかそうはいかないんだけどね。

 

一同:あははははは

 

そんなこと言うて、変な人だと思われる。

 

――中学の時はすごい勉強好きでした。

 

うん。それは中学でなんで好きだったのかってね。先生から褒められて好きっていうのもあると思うし、勉強自体が面白いとかね。

 

――うん。

 

面白い方がいいと思うんだよね。さっきも言ったけど仕事もつまんないと思ったらね。

 

――そうですね。

 

お金のためにっていうかね。

 

――バイトもそうですよね。

――確かに!つらいよ!

 

それ自体を楽しくないと。やっぱり人生はプロセスだからね。結果ではないので。プロセス自体楽しまないといけないんじゃないかな。そういう意味ではあんまり楽しくない人もいる感じはする。

 

一同:ははは



特殊な状況の中で、人間がどういうことをやっているのかっていうのを見ることができたっていうのは非常に面白いことだと思います。

 

――今日はよろしくお願いします。まず最初の質問なんですが先生が心理職をやられていて、心理職ならではの楽しかったことや面白かったこと、これまでの発見は何かございますか。

 

心理職として…面白かったこと…。いろいろな分野で心理学が使われるけれども、日ごろなかなか接することの出来ない人たちと、接することができるとか、話を聞くことができることは面白いことだと思うんですよね。

 

――はい

 

例えば僕は大学の学部を出て、そのあと大学院の修士課程に進み、そこで実験心理学をやっていたんだけど、修了後、鑑別という業務をする中で心理職の公務員になって少年鑑別所とかに行ったりして、そこで非行少年や犯罪者の人たちから話を聞くことができた。これはやっぱり普通の仕事だとなかなかできないことだなと思ったんですね。心理職だっていうと、(クライエントが)話してくれたりもするので。そのあと、また大学に戻って研究をするんだけれども、いろいろ研究をしていく中で、今度は犯罪者ではなく、もしかしたら犯罪をやってないかもしれない、冤罪の可能性のある人たちの供述の分析をするようになって、今度は、冤罪が疑われる人と話をするとか、あるいはその人たちが取り調べの場面でどういうやり取りをしていたのかを供述調書や取調べの録音記録を見ることができて、やっぱりこれも普通ではなかなかそういう機会はないですよね。犯罪者もそうだし、冤罪を疑われた人もそうだけれども、人間がある極限っていうのかな…特殊な状況の中で、人間がどういうことをやっているのかを見ることができるっていうのは非常に興味深いことだと思います。

 

――はい、ありがとうございます。話は変わるんですけどもう一つの質問です。先生自身の特殊なこだわりは何かございますか。癖とか…何か…

 

これは研究とか関係なく?

 

――関係なくです!癖になるということはパーソナルな部分に関係するのかなって思って考えたんですけど…ざっくりな質問になってしまいますが…

 

こだわり…こだわりっていうといろいろすべてのことにあるっていうよりも、自分が関心があることにこだわりがあるっていうか…それを突き詰めるってほどでもないけれども、なるべくいろいろ考えて楽しむっていうことはしているのかなとは思います。

 

――なるほど。

 

それは辛いことよりも楽しいこと。例えば楽しい旅行をしようと、旅行についていろいろ考えるとか。美味しいものを食べたいなって思うと、美味しいといわれるものをいろいろ調べてみたり、もっとこういうのが美味しいんではないかと考えたりね。こだわりといえばこだわりかな。

 

――そこは結構みんなこだわるところですよね!

 

たぶん桁違いではないけれども、普通の人よりもかなりこだわってるかもしれないよね。そういえばお二人は何かこだわってることは…?

 

――僕のこだわりは本当に人と会話するときとか、初めて会話するときとか。僕のこだわりというか人生のテーマの中で同性に嫌われたら終わりだと思っています。

――うふふ

 

うんうん

 

――同性に嫌われる人って異性に好かれないなって僕は思ってて、すごく男の子に優しくしちゃうんですよ。だから本当にちょっとこっちなんじゃないかって思われるくらい女子と男子に対して僕は結構関わるときに差があると思います。癖なんですかね。いつのまにかもう優しくしちゃおうって思っちゃうんですよね。なんなんでしょうね。

――え~なんだろうわたしは…こだわり…ん~~~~。

――いっぱいありそうだけどね(笑)

 

あはははは。

 

――え~~~何だろう。あ、でも心理学に全く関係ないんですけど、全然関係ないんですけど…朝は絶対にごはんじゃないと嫌だ。

 

それはこだわりだねえ(笑)

 

――THE・こだわりだねそれは。パンみたいな見た目してるんですけどね。

――パンちょっと苦手なんです。朝はご飯じゃないとシャキッとしない。

――…わかる

――ちょっとくだらないかな?大丈夫かな?

 

あっははは。

 

――いやこだわりですよ、それも。

――そんな感じです。


「体験する」ということ

 

‐‐ 先生の特別なこだわり。仕事の中でもいいんですけど、もっとパーソナルな部分のこだわりでもいいんですけど、何かありますか。

 

まあ仕事なんですけども、治療でもそうだしあるいは臨床の教育でもそうなんだけども、「体験する」っていうこと。五感で感じるっていうことは、大事にしてるつもりですね。ゼミのモットーっていうのがあって、「動いて、感じて、考えよう」。知識を得てからやってみようではなく、まあそれが普通だと思うんだけども、そうすると、頭でっかちになっちゃって、見落としてしまう。大事なものが感じられなくなっちゃうってことがある。「感じる」ってことはやっぱりすごく大事で、心理学って感じることを大事にしなければって思っていて、例えば、これね、ACTのワークで使ったりするんですけども、こっちはアドミッションに買ってもらった市販品なんですけども、こっちは院生が縫ってくれたんですね(お手玉)

 

‐‐ 手作りですか?

 

そう

 

‐‐ すごーい

 

触ってみて

 

一同: 失礼します

 

中に入っているものも違うんです。

 

‐‐ わたし幼稚園くらいの時に、おばあちゃんがあずき?紫いろっぽいやつでお手玉作ってくれたんです。これなかになにが入ってるんだろう気になる(笑)

 

一同  笑い

 

ねっ、触ると結構もう「あれっ」っていって引き込まれちゃって、「あれこれどう違うんだろうとか」そういうことが起きてきますよね。当然それは学生でもクライエントさんでも起きてくるわけなんだけれども、そういうのは実際自分で触って感じてみないと「あー、お手玉でしょ」って

 

‐‐ うん

 

考えだけで、思考だけで判断してしまうと、「なんだこれお手玉じゃん」で終わってしまうんだけども、触ってみると「えっこんな音するんだ」って

 

‐‐ うん

 

‐‐ すごいこれ全然違う音する!(笑)

 

それで触ってみることで、「あー!」って気が付くようなことがあるし、それが人によって違ってるし、感じてもらいかた、そして言葉にしてもらいかたの違いっていうのが本当に千差万別になってくるし、さっき言ってたそのセラピストも一人一人個性があるってことなんだけども、こういうのをどう感じて、あるいはどう体験してもらおうとするかってのも、本当千差万別なんですよね。理論としては、これはマインドフルネスのツールで、お手玉のマインドフルネスっていうエクササイズで、それで、見てみましょう、聞いてみましょう、触ってみましょう、っていうようないくつかの基本的なやり方はあるわけなんだけども、それを実際にやってみると、セラピストの役の人でも、微妙に違うことをやるわけだし、当然相手、実際体験するほうの人も違う体験しますよね。そういうことを一つ一つ積み重ねながら、臨床って覚えていくのかなと思っていて、そのためには道具もある程度こだわることが必要になってくるのかな。

 

‐‐ そうですよね。体で感じて、触れてみて、色々な捉え方を模索してみる

 

うん、だから理論で、言葉で書いてしまうと、それこそ教科書に書いてあるような、これを大事にしましょうとかこれをやってからこうしましょうみたいなことになるんだけども、実際は、やっぱり五感で感じて身体があって生きている。クライエントさんもそうだし僕らもそうだし、それでその人同士がやり取りするわけだからかなり違う体験になっていくんですよね。それを学生に教えていくときに、目に見えるあるいは明らかに体験として記憶に残るような体験をすると、学生の方もわかりやすいというか、実感があるので、そういう実感をとにかく体験してもらおうというようにやっています。

 

‐‐ うん

 

例えば3年のゼミも、特に前期は、二週にいっぺんはエクササイズをやって体験してもらう。もちろん体験しただけだと「なんだったんだろうね」ってことになって、大学のゼミにならないので(笑)それはこういうことだよって、研究の方でおさえてくってこともやってもらうんですけども、まず体験してみようと。つまり体験する前にいろいろ本で読んじゃって、言葉で説明しちゃってから体験すると、自分の枠組みの中でしか体験できなくなっちゃうので

 

‐‐ うん

 

まず自分の感性を信じて、体験してみて、その中でいろいろなうまくいかないこともあるし、疑問もでてくるし、不安に感じることもあるかもしれない。それってなんだろうかって、文献をじっくり読むと、ちょっと違う読み方ができるのかなって。

 

‐‐ なるほど

 

だから頭だけで読まない。身体と頭がちゃんとつながってるような、勉強の仕方、研究の仕方もそうだし、臨床の仕方もそうだし、あともっと言えば生き方もそうなのかなって

 

‐‐ うん

 

まあ実際には学部のゼミ出ても、8割9割の人は民間企業就職するわけですよね。まあ福祉施設にいく人もいるけども。そうすると心理臨床やってるってわけではないような人がかなり多いわけだけども、でも、なんかゼミで、ああいう仲間たちとこんなことやったよなっていう体験がどっかに残ってて、発展していってくれるといいなって思ってますけどね。

 

‐‐ まず体験する

 

‐‐ うん、先に体験してから勉強ってなると、多分興味とかも、普通に最初から教科書開いてみたいなのより、すごい面白く学べそうだなって思いますね。

 

ただし、ある程度枠がないと「何でこんなことやるんだ!」とか

 

‐‐ あははは

 

あと、出されたものですごく不安になっちゃうとか、そういう危険性もありますよね。だからリスクは当然あるので、ある程度の枠の中でやってくっていうことは、相当気を付けてやってますけどね。思わぬ反応をする人もいるので(笑)

 

‐‐ 思わぬ反応(笑)

 

それこそお手玉なんて出したら、いきなり投げつけちゃうなんてことも。幸いまだないですけど(笑)あり得るわけですよね

 

‐‐ あり得ますね(笑)

 

取り合いになっちゃうとかね。これ、投げてもらうってこともやってもらったりするんですよ。一人でいろいろ触ってみようって時は静かにいろいろ感じてみようってことでやってもらってるんだけども、じゃあまず自分で投げてみましょうってことでだと、小さい頃思い出して喜んでやるわけですよね。じゃあ二人でやり取りしてくださいってなると、急に雰囲気が変わってきて、やっぱり落としちゃ悪い、相手が取れるように投げなきゃって、とっても気を遣う人もいるし、あとは同じテンポでずーっとやり続ける人がいたり、一回一回投げ方を変えて、相手が取れるかどうかを楽しむ人もいて、だから5組くらい一緒に並行してやると、全然違うやり方をするわけですよ。しかも周りが見えなくなって二人の世界に入ってしまったりするわけですよね(笑)それで、はいストップって言って、今どうでした?どんな体験しました?っていうのをそれぞれ語ってもらうと、自分と他のペアが随分違うんだなとか、そんなこと感じる人もいるんだとか、わかりますよね。

 

‐‐ そうですよね、一人だけでは気付かないことも多いですよね

 

そうですね。

ゼミの同級生でもいろんな人と、それから先輩やら後輩やらっていろんな人とやってみてると、そこだけでも幅が出ますよね。そういう幅を持ってクライエントさんと関わると、柔軟な対応ができるっていうかな。「僕はこんな風に生きてるんだー!」って、それはとても良い生き方かもしれないんだけども、それだけでいきなりクライエントさんにお会いすると、合う場合にはすごく良いんだけども、当然合わない場合もあるし、合わないと、自分の能力がないんじゃないかって悩んじゃったりするわけだけども、その前にいろいろ幅を広げて、色々な体験を深めていってもらいたいですね。その時に目に見えて何をやったって、わかりやすいというのがうちのゼミの特徴ですかね。

 

‐‐ 日常、仕事以外で、何かこだわりってありますか?

 

こだわり?

 

‐‐そうですね(笑)普段生活している中で。

 

うーんどうでしょうね(笑)。僕はもともとはこだわる方なんですけども、まあ、自分なりに楽しめればいいやって。例えばお酒でいえばワインが好きなんですけど、でもワインってやっぱりきりがなくて、古いものとか貴重なものとかってすごい高かったりして、あと、高級な和牛とこのワインは合うとかってあるわけだけども、あんまりお金かけてっていう感じは僕はなくて、もっと庶民的な感じで、まあ普通に手の届くところで、今日の気分だったらこっちの方が合うだろうなとか、この料理だからこっちが合うよなとか、そういうのはそれなりに楽しめればいいのかなって(笑)

 

一同: (笑い)

 

身の丈で楽しめればいいのかなって。料理も作るんですけども、昔始めたころは割と、例えばシチューが好きなんですけども、じゃあシチューの肉はどういう肉でとか、煮込み方はどんなふうにしてとか、始めたころはそんな感じでこだわってたんですけど、まあ、素人がそうやってこだわっても大した違いはないなって(笑)

 

一同: あははは

 

少し年を重ねるとわかって来たんで、むしろ出会いを大事にするっていうかね、マーケットで、「今日はこのお肉が僕を呼んでる!」とか

 

‐‐ あははは

 

昔は肉の方が好きだったんですけど、最近歳のせいか魚も好きになってきて、新鮮な魚がそろってるスーパーで、今日はどんなのがいるかなって、「あっこいつは僕に食べられたがってる」とか(笑)

 

一同: あはははは

 

そんな感じで、じゃあこれに合うワインはとか、ソースをどうしようかとか、あと、家の子どもたちは割と好き嫌いが多いので、これは子どもは食べないな、じゃあ子どもにはこれにしとくかとか、そこまで組み合わせないといけないので、いろいろ判断しなければいけないことが多いので、まあそれはそれで大変っていえば大変なんだけど、楽しみではある。

 

‐‐ なんか楽しそう(笑)主婦みたいですね(笑)

 

そうですね(笑)

 

‐‐ 魚が僕を呼んでいるってうちのお母さんもよく言います(笑)

 

‐‐ 食へのこだわりは結構あるって感じます

 

食べるって五感で、見て楽しむ、聞いて楽しむ、触って楽しむ、味、香りを楽しむ。香りは好きですね。コーヒー、紅茶、ワインとかその辺は何でもいいっていうんじゃなくてこの店がいいとか、コーヒー屋さんとかでも行きつけになってその店ばっかりとかってこだわったりしますね。紅茶はダージリンが好きなので、今紅茶屋さんいっぱいできてて、いろんなブレンドのものをたくさん出してるんだけども、ダージリンって場所が限られてるから、あの農園のっていうと、それだけで買い占められて、高いんだけどね。まあそれは、コーヒーが普段は好きなんだけども、今は紅茶がいいなって時には千円以上もする紅茶を飲んだりはしてますね。

 

‐‐ へえー

 

まあそういう、さっき言ってた、一つ一つの体験を大事にするってことと、当然それが活きてるわけですから、食事もやっぱり五感ですよね。そしてそれをどんなふうに楽しむか。あと、運動はあまりしないんだけども、歩いたりすることは心がけていて、やっぱり歩いたりすると、体の方もいろんな感じがしてくるし、また歩けば、あそこの花が咲いたなとか、あそこで子どもがこうだなとか、いろいろ感じられるわけじゃないですか。そういうのを一つ一つ大事にしたいなっていうのはありますね。だから、一つのことにこだわってという感じではないかもしれないですね。

 

‐‐ なんかさっきの研究職の話を聞いてる時も、今のこだわりの話を聞いてる時も、千葉先生は柔軟なことを大事にする方だなって思いました。

 

あ、そうですか、ありがとうございます。

 

‐‐ 僕も思いました

 

実はACTでは柔軟性を大事にしていて、そういう話をしてないのに受け止めてもらえたっていうのはすごく嬉しいですね(笑)

 

‐‐ よかったー(笑)

 

‐‐ 今回はありがとうございました

 

こちらこそありがとうございました

 

セオリー通りではない意外な発見をクライエントさんとのやり取りの中で教えてもらう

 

 

‐‐ まず最初の質問なんですが、心理職ならではの面白い発見や楽しいことなどを教えていただけますか。

 

面白い発見・・やっぱり臨床でクライエントさんが元気になっていったり、生き生きとしていったりする。そしてそれがセオリー通り、技法通りに変化していったというよりも、その人らしい形で、その人のユニークさを持って、「あーこんなことできるんだ」とか「こんな変化があり得るんだ」という風なところで、その人らしく生き生きしてきたときは嬉しいですよね。

 

‐‐ なるほど

 

相手の方が元気になって嬉しいっていうことももちろんそうなんだけれども、「この技法でこんな効果もあるんだ」とか「この技法こんな風に使う人もいるんだ」とかって、一応技法とか理論っていうのが型通りというか、教科書みたいなのがあるわけじゃないですか。その通りいく場合ももちろんあるわけなんだけど、そうじゃなくて、意外な発見というのかな、「こんな効果もあるんだ」とか「このやり方でもいいんだ」とか「こっちのほうがいいな」とか、そういうのをむしろクライエントさんとのやり取りの中で教えてもらうっていうかね、見つけてもらうときっていうのはすごく嬉しいし、喜びを感じますよね。

 

‐‐ セオリー通りにビシッと行くってことは少ない方なんですか?

 

どうだろうなー。基本はセオリー通りなんだと思うんですけどもね(笑)

 

‐‐ 千葉先生の研究に関して面白い発見とかはありますか?

 

今言っていた通り臨床が研究でもあるので、新しいやり方を導入して試してみて、効果があったっていうのはもちろんそれはそれで嬉しいわけですよね。でも、そういうときに、必ずしもセオリー通りとか予測通りではなくて、「こんな使い方をする人もいるんだ」とか、「こんな効果もあるんだ」っていうのが見つかったとき、あるいはそれが「じゃあこうやったら説明できるのかな」とか、クライエントさんの変化についてこういう理解をすればいいじゃないかとか、だったらこれもできるんじゃないかっていう風に新しい仮説が出てきたりとかね、そういうモデルが発展したりとか、そういう時って面白いですよね。

 

‐‐ そういう理論体系とかモデルっていうのは常に、というか頻繁に変わっていくものなんですか?

 

そうですよね。基本のところは変わらないんですけども、何年かにいっぺん十年にいっぺんとかは割と新しい理論体系が出てきたりもするし、それがどう適応されていくのかっていうことについては、それこそケースバイケースでクライエントさん一人一人によって違うところがあるので。

 

‐‐ でもあまり、どういう例があったかっていうのはプライバシーの面でダメなんですかね。

 

うーん

 

‐‐ こういう面白いことがあったみたいな。

 

こんな面白いことがあった・・僕は今、臨床の基本はACTっていうやり方をしてるんですけど、こんなのもACTで使ったりするんですけども(お手玉をみせてくれた)

 

‐‐ へえー

 

僕は今心理臨床センターを主に臨床の基盤にしているんですけども、心理臨床センターの方は、院生に担当可能なケースは極力院生にもたせるわけですよ。そうすると自分が何やるかっていうと、EMDR療法っていうのがありまして、トラウマの心理療法なんですけど、それは臨床心理士の資格を持っててさらにEMDR療法のトレーニングを受けなければいけない。そして、基本は臨床心理士の資格を取ってから、その訓練を受けてくださいということなので、院生は訓練すらまだ受けられない状態なんですね。今心理臨床センターで他の先生方もEMDR療法はやってないので、それを希望してくるクライエントさんは僕が担当する。そして普通にACTが適応可能だろうなっていうのは院生に担当させる。そういう感じでやっているんです。EMDR療法のやり方っていうのはかなりガチっと決まっている、構造化されたセラピーなんですけども、セオリー通りだと、中々進展しない、トラウマの点数がある程度以上下がらない、みたいなことがあるんですね。

 

‐‐ なるほど

 

そういうときに、ACTの技法を少し導入して、そうするとトラウマとどう向き合っていくかっていうことなんだけども、EMDR療法の方は脳の処理プロセス、適応的な処理プロセスが脳にそもそも備わっていて、それを刺激してあげるっていう理屈なんですね。ACTのほうは、嫌なこと辛いことがあるとついついそれから逃げてしまう。逃げてしまうことで、問題が先送りになって悪循環になってなかなか解決しない、場合によってはひどくなっちゃう。ということで理屈は全然違うんですけども、でもストレッサーから逃げてしまうということに関しては、ACTの技法を使って逃げないように、自分が向き合ってるのはこういうストレッサーなんだなというのが分かって、それをイメージして、逃げないでとどまっていられる自分というのが感じられるようになると、EMDR療法やってても、記憶の中の怖い刺激っていうものに、逃げないでとどまっていられる。そうすると脳の処理プロセスが進むようになっていって、トラウマ処理が進んでいくという風なことがあって、まあ本来全く別のものなんだけども、組み合わせてやってみたらば、結構これ使えるじゃんっていうのはこの一、二年体験していて、それで、あの人でこんなことができたとかこっちの人はこんな風に変わっていくんだとか。あと部分的には院生にも陪席してもらって、エクササイズの部分だけ院生にやってもらうなんてこともあるんですけども、そしたら院生が結構独自のというか独特の雰囲気でやってくれて、それが良かったりなんてこともあったりして。

 

‐‐ へえー

 

それから僕一人だけでなくて、院生とも知恵を出し合いながら、あるいはそれぞれの持ち味を活かしながら、クライエントさんと一緒にやってるという感じで、そういうのがうまくいったときなんていうのは「やったー!これ結構効くんだ」そういうことはありますよね。

 

‐‐ ほんとにケースバイケースなんですね。

 

まあそうですね(笑)抱えてるトラウマもそれぞれ違うので全く同じようではないですね

 

‐‐ いろんなケースがあるってことですもんね

 

うん

 

‐‐ クライエントさんのもとの性格とかもそうだし、あとそういう、院生の人は院生の人なりの雰囲気があったりとかそういうので変わってくるんですよね

 

院生も一人一人くせがあったりするのでね(笑)それでくせが良い方向に働くときもあるし、逆に「うーん・・」ていうときも

 

一同: あははは

 

‐‐ そういうときは担当を変えたりするんですか?

 

いや、ちょっと合わないなっていうんですぐに担当を変えるとかではなくて、クライエントさんからしてもそうですよね、この院生さんちょっと合わないなと感じる場合ってのはあり得るわけですけども、そのときに、でもこの人こんないいところがあるんだよとか、このやり方ちょっと合わなかったとすると、じゃあどんなやり方が良いのか一緒に探しましょうよとか。クライエントさんにもこのセラピスト嫌だっていってすぐに諦めさせちゃうんじゃなくて、踏みとどまってもらいたいし。

 

‐‐ それが進歩に繋がると

 

さっきの話にちょっと似てるでしょ?

 

‐‐ 向き合うってこと

 

うん、ストレスに向き合うってこともそうだし、この状況で、たとえばうちのセンターで上手くいくかなとか、セラピストが誰の方が上手くいくかなとか、このやり方で上手くいくかなとか、当然条件いろいろあるんだけども、時には、このままではうまくいかないんじゃないかと思うことがあるわけですよね(笑)そのときに、「あーだめみたいだな」って一緒になって諦めちゃっては、やっぱりセラピーにならないので

 

‐‐ うん

 

うん。そこはなんとか希望を持ってもらえるようにこっちもあの手この手で・・(笑)あとはその、ちょっとあれって思った時に、早めに気が付いて手当てすることが必要ですよね。すごく大きくなっちゃって、「あーこの先生じゃだめだ」ってなってしまうともう話しもしてくれなくなっちゃう。それこそ来てもくれなくなっちゃうので。そうなる前に早めにキャッチしてっていうことですね。

 

‐‐ じゃあ、やっぱり技法とかが全てではなくて、カウンセラーの方が持ってる雰囲気とか話し方だったりとかがすごい影響されますよね。

 

まあそれもあるんだけども、技法って言っても表面的にこの手順をやればいいっていう技法ではないわけですよ。むしろ、例えばトラウマだとすると、どういうトラウマ刺激に遭遇してるのか、その時にクライエントさんが何を体験しているのか、体ではどう反応し、考えではどう反応しちゃっていて、どんな感情が起きていて、逃げたくなっちゃうっていうのはどんな逃げ方をしちゃうのか、逃げ方もいろいろくせがありますから。そこをしっかりと見極めていくってことをしていかないと、つまり見落としちゃうわけですよね。「あーこの逃げ方だな」っていって、Aの逃げ方だなと思っていたらば、実はもっと巧妙なBの逃げ方をしていて、そこに気が付かないと、Aで逃げないようにってことばっかりやっても、じつはそれやってる間にもBで逃げちゃってると、治療は進まない。そんなことがあって。そのBのところをちゃんと見抜けるかどうか。じゃあそれはどうやって気づくかっていうとやっぱり会話をしたりとか、ちょっとした仕草とか、ある話をした時にちょっとおびえた表情が見えたとか、そういうようなことを細かく見ていっていく中で、見極めるってことですよね。

 

‐‐ ありがとうございます。ではそろそろ次の質問をさせていただきたいんですけれども。

 

はい

心理学ってピンチがチャンスになるんだよ

 

――なんか日常生活を送ってて、これ社会心理学出てるなっていう状況ってなんかありますか?

 

どこでもって言うのがやっぱり。

 

――どこでもですかね、やっぱり。

 

あとは逆に、まだ説明されてないけど不思議なことが起こっていて、何でこんなことが起こってるんだろう、今までの社会心理学の言葉じゃ説明できないようなことの方が本当はもっと面白い。

 

――ああ。

 

これっていったい何が起きてるのって感じで、まあわくわくするよね。

 

――うん。

 

うん。それは本当に、例えば大学だったら教員と職員の関係でもいろんなズレが起きて、微妙な誤解で話がずれていったりとか起きたりもするし。例えば自分が授業をしてて、うまくしゃべれる時としゃべれない時があって、そのしゃべれるしゃべれないって学生に影響されていて、学生が前の方でちゃんと一生懸命聞いてくれてると、わりとちゃんとしゃべれるけど、学生がもう、ええ?って顔して聞いてると、どんどんうまく話せなくなってくるっていうような自分もいたりするので。まさに人間から影響受けてるなって自分でも思うし。

 

――うんうん。

――なるほど。

 

まあ、面白いよ、うん。

 

一同:(笑)

 

僕はこの授業でこの話をしたいと思って授業の準備をするので、それがうまく話せなかったな、反応薄かったなていう日はへこむんだよね(笑)そういう、ネタ探しをしてますね。あと、わりと最近はそうでもないんだけど、実験をやるってことは、結構複雑な状況を実験でやるので、それを分かりやすく説明しなきゃいけなくて、それで無駄にパワポが動くっていうのはありますね(笑)

 

――ああ。

 

授業によるんだよね。

 

――統計とか難しい話がすっごいパワポ動きますよね。

 

そうだね。パワポ動かさなきゃわかってもらえないっていう強迫的な、ここを分からせるためには動かすしかねえなって思ったりする。

 

一同:(笑)

 

――そろそろまとめに入らせていただきます。

 

そうだね、うん。

 

――このブログを見て入ってくる生徒さんがいる可能性もあるので、これから心理学を目指すうえでのメッセージを頂けたらなと。

 

メッセージ。

 

――はい。たぶん、僕この前も先生としゃべってて思ったんですけど、入る前と入った後の心理学のイメージってものすごく変わると思うんですよ。僕自身もそうでしたし。そういう意味でギャップとかもいろいろあると思うんですけど、そういうのになにかメッセージを頂けたらなと思います。

 

僕は専門が社会心理学なので、そういう意味では、心理学はすごい面白いよっていうのが大前提なんですよ。

 

――そうですね。

 

それは自分の身の回りで起こってること全部、心理学がかかわって解釈できるというか、理解するっていうものなのだということと、そういう人が直面する問題って別に精神的な心の病みたいなものだけじゃなくて、やっぱり人間関係上手くいかないとか、厳しい先生に対してどう対処すればいいのかとか、いろいろ自分の人生の中で問題にぶち当たることがすごい多いわけですよ。で、僕自身時々いうんですけど、心理学って、何か問題にぶち当たるじゃないですか、

 

――はい。

 

そしたら、それは解くべき問題なんですよ。だから、それがどうしてそんな問題に陥っちゃうのか、どうやってこれを乗り越えればいいのかっていうことがわかると、たぶん自分だけじゃなくて、他の人にとっても役に立つ新しい発見みたいになるわけですよ。つまり、壁にぶつかると、それは同時にこれは解くべき、いわゆるパズルだと。これ解けると、他の人の役には立つ。さらにそこで、こういう人間関係に悩んだ時にはどうすれば良いんだろうこうすれば良いのかなって試そうとするじゃないですか。

 

――はい。

 

そういう問題にかかわって、実際に直面してないと試せないんだよね。だから、心理学ってピンチがチャンスになるんだよ。ピンチだからこそ、何か新しい発見ができるし、ピンチだからこそ、その新しい発見とか新しく考えた対処法が、うまく使えるか試せるんだよ。

 

――うんうん。

 

だから、目の前にあること、身のまわりのあらゆることに実は心理学がかかわっていて、それをどうすれば良いのかなって考えてみたことがある人は、多分、ちゃんと学んでちゃんと考えるとすごく面白くなると思いますから。

 

――はい。

 

人間関係に悩んでどうしたらいいんだろうって思った人は、ぜひ

 

――ぜひ。

――ぜひ。

 

人間関係だけじゃなくても。

 

――本当に、本当にそうですね(笑)

――どうにかしたい人に(笑)

 

どうでもいいやって思ってる人は向いてないかもしれないですけど、これどうすれば良いんだろうみたいに考えてる人は。

 

――確かに、仕組みがわからないと悩みっぱなしなんですよね。

 

うん、そうだね。そういう人にぜひ。

 

――そういう人にぜひ、お勧めしたいと思います。

 

はい(笑)

 

――今日は本当に、ご協力ありがとうございました。

――ありがとうございました。

 

こちらこそありがとうございました。

圧倒的に複雑で、そして圧倒的に重要なのは人間だ


――わたし神さんにとても興味があるんですよ。

 

はあ、なんで。

 

――神さんの授業が好きで、多分、もともと社会心理学系に少し興味があったからだと思うんですけど、面白い人だなあって思っていつも授業受けてました。

 

それは嬉しいな。中坪ゼミの学生にそれ言われると嬉しいな(笑)

 

一同:(笑)

 

――僕は先生の授業の題材とか本当に好きですね、消費者心理学とかすごい面白かったですけど、組織心理学もすごく面白かったですね。

 

うん。でも最近ちょっとね、なかなか悩んでるんですよ(笑)授業、昔ほど反応が良くなくなってきてるので、その年によってだいぶ変わるんだよね。

 

――うーん。

――心理学科のキャッチコピー考えようみたいなとき、絶対使われると思ったんですけど、まったく載ってなくて。

 

学生の相互評価だからね(笑)

 

――学生の心を掴まなかったんですね。

――掴めなかったね。

 

でも、本当の高校生にはいいのかも知れないんだけどね。在学生にはそれほど引っかからなくても、高校生には響くかもしれないっていうのは本当はあるんですけど、分かんないので、残念ながら。

 

――そうなんですよね。

先生の学生時代のお話を聞いてもよろしいですか?

 

どうぞどうぞ。

 

――学生時代は何か、大学だったらサークルとか、中高とか、部活とか何かやられてましたか?

 

ちゃんとまともに部活をやったといえるのは、中学校の時に卓球をやってました。チームプレイがあまり好きじゃないんだよね。

 

――なるほど。

 

つまり、チームプレイが嫌いなわけではなくて、チームプレイで失敗するときに対する恐怖みたいなものって、

 

――わかります。卓球だったら本当にそういうメンタルついちゃいますもんね。

 

うんうん、そうなんだよねきっとね。あとはもう、大学3,4年くらいから本当研究生活になったというか。みんなで研究、実験をちゃんとやろうとするとすごい大変なんだよ。

 

――うーん。

 

なんて言うんでしょうね。実験手伝ってもらう人がたくさん必要になったりするんで、それをまず動員したり、相談したりしなきゃいけなくなるので、3年の後半くらいからずーっと研究、つまり実験の準備して動員して、みたいな生活に入ったので、圧倒的に研究になっちゃうんだよね。

 

――なんか学生時代にやった研究の中で一番覚えてるのってなんかあります?印象に残ったものとか。

 

差別行動の研究とか、わりと学生時代はやってたんだけど。あとは社会的ジレンマの研究とかしてたね。

 

――なるほど。先生はなんで心理学の道に進もうと思われたんでしょう。

 

僕はもともと動物をやりたかったんですよ。

 

――ああ。

 

動物の行動って面白いなあって、それを研究したいなあって思っていて。ただ、面白いなって思っていたのは、例えば動物自体も面白いんだけど、昆虫とかも面白いなあって。アリとかの世界ってすごい面白いなと思っていて、

 

――うん。

 

それで、心理学の、動物行動学のゼミの入れる学科に入ったわけ。そこには当然動物行動じゃなくて人間の行動もいけるというか、そういう研究ゼミもあったので、いろんなゼミの話を聞いてるときに、動物面白いって思ってたけど、でも圧倒的に複雑で、そして圧倒的に重要なのは人間だなって思って、

 

――うんうん。

 

動物なんかよりも人間のほうがおもしれえなって、人間の社会はうまくいっているとか、あるいはうまくいかなくなるというのが何でなのか、それがわかって、うまくいかなくなりそうな時に対応するみたいなことが、出来たほうがいいよなあって。それで社会心理学なんですよね。

 

――おお、なるほど。

 

だからそういう意味では組織とか、集団とか、社会みたいなものに役立つ心理学だから特に

面白いなって。

 

――うんうん。

 

――私は社会心理学概論の授業が特に好きだったんですけど、多分一年生の時って、入学してすぐ、心理学の話をもっと聞けるのかと思っていたら、英語とかそういう勉強ばかりで、ちょっとげんなりしてる時があって。その時の社会心理学概論で、きた­ー!って思って授業受けてたからだと思うんですよね(笑)

――いきなりの社会心理学概論ね、確かに僕もそうです。

 

なるほどね。

 

――こういうの待ってましたみたいな(笑)

――思った思った俺も思った(笑)

 

一同:(笑)

 

なるほど(笑)

 

――そういう意味では一番テンションの上がる授業ではありましたね。

 

確かにね、それは嬉しいよ、純粋にうれしいですね。ネタ勝負をしているので一応、授業はネタを。

 

――まだまだ取らなきゃいけないんですけど、えっと、なんかある?

――わたし的には話が戻ってしまいますけど、研究職、心理職について楽しかった話が聞きたくて。

 

うんうん。あのね、難しい話を分かりやすく話したい欲求がたぶんあって、うまくいかないことも多いんですけどもちろん。でも、当然わからねえよみたいな顔してる学生の人たちに分からせて、「ああ」って顔してもらえるとやっぱり嬉しい。

 

――うん。

 

教える方の喜びみたいなものはありますね。あとは、僕はゼミとして、学生と大量に研究するので、こう、凄まじく苦労させるので(笑)

 

――結構よく聞きますねその噂は(笑)

 

鬼かって思われるような(笑)

 

――そうなんだ(笑)

 

そんな事態になるので、この間卒業生の結婚式に行ってお母さんに、いろいろ聞いてますよとかって言われて(笑)

 

一同:(笑)

 

――お母さんに話したくなるほど厳しかったんですね(笑)

 

でも、最後出ていく時っていうか、卒業するときはみんな、このゼミ来てよかったですって言ってくれるので、

 

――うん。

 

認知的不協和を解消してるだけなんだけど(笑)そうやって一緒に面白いこと見つけて、お互い楽しかったねって思えることはすごく楽しいんですよやっぱり。

 

――うん。

――そういう経験って貴重ですよね、学生時代のそういう。

 

そうですね。いかにそういう経験を学生さんと出来るかなっていうのがやっぱり、やりたいところなんですよね。

 

――神先生のゼミの卒論を書くための実験とか参加しましたけど、結構みんな楽しそうにやってますよね。

 

まあね、あれ準備ものすごい大変なんだよ、実験の準備とか…鬼だよ。

 

一同:(笑)

 

平気で修正を求めるので、わかんないなこれ、こういう風にやるとわかりやすいんじゃない?っていう感じで、急に変更みたいな。理不尽なクライアントに振り回されるシステムエンジニアみたいな状況に皆さんなって(笑)

 

――なるほど。

 

はあってなりながらやるっていう、かわいそうに。

 

一同:(笑)

僕は圧倒的に研究にこだわってるんですよ。

 

――今日はよろしくお願いします。

――よろしくお願いします。

 

よろしくお願いします。

 

――まず最初の質問なんですけど、先生が心理職を始めて研究とかしていて、心理職ならではの面白い発見とかって何かございますか?

 

それは学術的に発表された研究成果、みたいな意味ですか?

 

――いや、なんでも。

 

あははは(笑)

 

――結構ざっくりなことなんですけど、こんな研究面白かったなとかでも。

 

まあ大体研究は面白い(笑)

 

――そうですよね、そうなんですよね。

――たしかに。

 

だいたい自分でやってる研究は面白い研究しかやらないので、自分でだいたいどの研究も

面白かったと思うんですが。もともと集団間の争いみたいなことが専門なので、差別したりひいきしたり、あるいは、他の集団に敵意向けたり、みたいなことがどうして起こるのかみたいなことを研究してるんで、その憎悪がどんどんこう、敵意が敵意を生んで、さらに連鎖していくみたいな研究をしていたので、それはやっぱり面白かったですよね。

 

――はい。

 

他にも、普通に対人関係の、互いに信頼しあう関係はどうやって作れるかみたいなこととか、それこそ対人魅力の、ギャップのあるやつは好きだとか(笑)好意を感じるとか、まあそういう研究もしていて。基本は人間の心理というか、対人的な心理の特性がなんであるのかみたいなことを考えるんですけど、人間が社会で生きてくために役に立つみたいな、そういうことが見えてくると、面白いなって思いますね。

 

――今好意の話があったんですけど、人ってどういう人に好意をもちやすいんですか?

 

それは単純な話で、まあ基本は人によりますけど、単純なところで言うと嘘つかない人ですよね。

 

――あーなるほど。

 

普通に性格で調べると、誠実で頑張れる人みたいなのがやっぱり好まれるので、逆に嫌われるのはやっぱり嘘ついたり、陰で悪口言ったり、ズルしたりする人なので(笑)

 

――(笑)

――ありがとうございます。じゃあもう一つの質問なんですけど、先生の何か特殊なこだわりってありますか。性格的にも、何かこの物にこだわってるとかでも良いんですけど。

 

こーだーわーりー…。たぶん、僕は圧倒的に研究にこだわってるんですよ。

 

――なるほど。

 

研究と教育というか、学生と一緒に研究をするので、学生と一緒にやれる研究を、手を抜かないということがこだわり(笑)

 

一同:(笑)

 

全く手を抜かないっていう。

 

――1番大事なことですよね。

 

そうすると皆辛いんですけどね(笑)

 

――甘やかさないってことですね。

 

まああの、甘やかさないっていうこだわり?

 

一同:(笑)

 

――なんか日常的なこだわりあります?

 

日常生活的なこだわりかあ…あるかなあ…

 

―そういえば神さんいつもコーラ飲んでますね。

 

はいはい。

 

――あれこだわりですよね。

 

あれはね、こう、刺激があって、割と甘いけど、カロリーがないものってコーラくらいなんだよね。

 

一同:(笑)

 

だからだいたい飲んでるのはゼロカロリーのコーラなんですよ。純粋にこう、刺激は欲しい、ある程度甘いものを口にしたい、だけどカロリーは摂取したくないってことで、

 

――なるほど、一番いいのが、

 

一同:コーラ(笑)

 

――ダイエットコーラ的なやつ。

 

そうそう、そうなっちゃう。だから他にそういうのがあれば他のも飲むんですけど。

 

――なるほど。

 

こだわりか、なんだろう。自分の特徴とすると、自転車で通ってるんです。で、なんだろうね。自転車に乗ってないとやっぱちょっと、体調は崩れるかな。

 

――あーなるほど。

 

やっぱある程度運動が必要で、せめて、自転車でも乗っておかないと、ほとんど運動しないので。

 

――健康を意識した生活をしてますね(笑)

 

まあ、そうですね(笑)ほとんど運動しないし、やっぱり野菜はなるべく多く摂ろうとか、カロリーは下げようとか。それでもちょっと痩せなきゃいけないんですけど(笑)

 

――気をつけているということですよね。

 

はい、でもこだわりっていうほどでもないよね(笑)

 

――なるほど。それでは二つの質問は終わったんですけど、できればほかの質問を。

 

はいどうぞ。

 

――じゃあ、先生のストレス発散方法とか何かありますか?

 

それはやっぱり自転車ですね。

 

――自転車ですか。

 

自転車に乗ることと、あとね、たぶん大学の先生の研究とか教育以外の話を聞き出そうとしてるんだと思うけど、僕の話は結局そこには戻ってくるんですよ。というのは、趣味はやっぱり研究で、ストレス発散も、学生と研究の相談をしてる時が多分一番ストレスが発散できるので。

 

――おお。

 

そういうところに大量に時間を使っているところで、ストレスが発散されるというところが、もちろん、ストレスになることもありますけど。

 

――はい。

 

でもまあ、一緒に議論していて、面白い研究計画とか面白い結果出たときは、やっぱりすごい楽しいので、それがストレス発散かな。あとはやっぱり自転車ですね。そうなると自転車はこだわりなのかな。

 

――自転車こだわりっぽいですよね(笑)


 

蓋の表と裏の絵の中に恋の別れが暗示されている。

 

それから二つ目は物へのこだわりはこれなんですけど…。これ硯(すずり)なんですけどね。女性が持つような。

 

――書道の?

 

書道の硯なんです。昔は日常的に使っていたのだと思います。

 

――かわいい!

 

かわいいでしょ?直径は10cmしかないんです。これは骨董品なんですけれど、金額は自分が手が出せそうなもので。これはもう大のお気に入りなんです。墨を使った跡があるから、誰かが使っていたものなんですけれど。これ江戸時代のものなんです。

 

――えっ!?

――すごいですね…。

 

わたしが硯が好きなので、懇意なお店で品物が入荷すると「こういうのはどうですか」って見せて頂いたんですけれども。本当に可愛らしくて素敵ですよね。江戸時代の技術は本当に質が高くて、またこの蒔絵がとても素敵なんですよね。この絵の中に恋の別れを暗示している。職人さんが絵を描くときにただ描くだけでなくて、この中に物語とか思いとかを込めて作っていて。この雁の羽のところなんかもすごい細工なんですよ。本当に細かいんです。私は仕事していてちょっと疲れた時は、こういう美しいものを見ているとほっとするんです。

 

――癒されるんですね。

 

硯をもしかしたら恋人に送ったのかもしれない。「さよなら、だからいつまでも覚えています。お手紙下さい。」という思いで送ったのかなって勝手にストーリーを作りながら。こういうものをコレクションじゃないですけど、手元に置いて…

 

――使ったりはするんですか?

 

中には使ったりもするんですが、これは使わないですね。今のところ使わないでいます。この水滴は銀でできてるんですね。だからある程度裕福な方が使っていたのかなって。

 

――わたしも集めたい。すごく楽しそうです!

 

誰がつくったものか、誰が使ったものかを想像しながら。とても楽しいです。気に入ったものがあると、傍に置きたいなとか癒されるだろうなって。これは一番お気に入りのものです。

 

――細かいですもんね。この月の褪せ方とか。

 

そうそう。

 

――機械じゃないですからね!

 

職人さんが手仕事で筆で描いているんだと思うんですけどね。相当な技術の方がやっているのかななんて思いながらね。勝手に想像するとすごく楽しいです。

 

それぞれが命を大事にしてる…。それをこだわりにやっています。

 

――ではこだわりの話に移らせていただきます。

 

今回遠路遥々持ってきました(笑)これがわたしのこだわりです。(発芽玄米の機械を机に並べる)

 

――すごい!!!

――すごくこだわっていますね!!!

 

こだわりは一つは生きるスタイルのこだわり。生きるスタイルのこだわりっていうのは健康オタクなんです。丈夫そうに見えるんですけど色々体の弱さがあって。小さいころから食事には気を使っているんです。発芽玄米っていうのがいろんなところで売ってると思うんですが、それがいいですよっていうのを聞いて。発芽した玄米を真空パックになったのを買っていって。白米とか玄米とか混ぜるんですけど。もう少したくさん食べたいなってなったときに発芽玄米をつくる機械が売ってますよって教えて頂いたんですね。やっぱり健康オタクは健康オタクから情報を得るんですけど(笑)これがそうなんですけど、玄米を買ってきて20時間から22時間この機械に入れて、発芽させるんです。0.5ミリから1.0ミリくらい芽が出るくらいのところでとめると、急激にとめられることで、アミノ酸などがわーっと作られるんです。これもう15年使ってるんですけど、発芽させて玄米を炊いて食べているんです。

 

――毎日食べられているんですか?

 

家で食べるときはこれを主食にしています。外食以外は原則これを食べています。これが健康の基本になっています。これも発芽だから「育てる」。

 

――そうですね!

――先生のテーマが「育てる」

 

ええ。ちょっと今日は持ってこれなかったんですけど酵母も育てていて。塩麹ってありますよね。あれと同じように麹の甘酒でシャーベットを作ったり。

 

――え~~!美味しそうですね!!

 

美味しいですよ!本当に。甘酒を凍らせるとちょうどシャーベットみたいになるんです。そういうのも体にいいっていうので。酵母も温度が70度で死んでしまうので、温度管理をしながらゆっくりと3時間ほどかき混ぜたりしながら丁寧に丁寧に扱ってあげると美味しく発酵してくれるんです。

 

――すごく大変そう…。

 

大変なんです。でもすごく楽しいので。日曜日一日かけてとかね。土曜日の夜仕かけておいて、日曜日に出来上がるとか。

 

――僕絶対に待てないですね(笑)

 

やっぱり酵母育てるのは温度管理と時間の管理。あとじっくりかけてかき混ぜたり。プツプツプツと呼吸しているんですよ。それも可愛らしくて見ながらやってます(笑)生き物って自然に育つ力を持ってるなってすごく感じるんですよね。二年くらいたっている古米なんかでもちゃんと発芽してくれるし。酵母も冷蔵していて常温に戻すと糖を作ってくれるし。それぞれが命を大事にしてる…。それをこだわりにやっています。

 

――食べ続けて変わったことはありますか?

 

そうですね。やっぱり健康になった感じはあります。便通とか肌とか。どっちかっていうとアレルギー体質なんですけど、それは安定した感じです。

 

――これ(発芽玄米の機械)欲しくなっちゃいます!(笑)

 

これ新潟の会社なんです。毎回真空パックの発芽玄米をその会社で買ってたら会社の方から機械があるから、自宅で発芽させた方が美味しいですよって教えて頂いて。この機械を買うっていうのがなかなかまとまったお金がかかるのでどっちが採算が取れるんだと。3年半使えば元が取れると、まあ私の原価計算なんですけれど(笑)そうしたらもう15年使っているので、もう全然元取れてるかなって(笑)

 

――すごい元取ってますね!(笑)あんまり玄米を食べる機会がないですね。

 

そうなんですね。現在は玄米も炊ける炊飯器が出てきましたけれど、昔は圧力鍋でないとだめだったんので面倒くさかったんですよね。でもこの発芽玄米はもう水分を含んで膨らんでいるので白米と同じように炊けるんです。

 

――へえ…!

 

かわいいんですよ、芽が。でも発芽をとめちゃって食べちゃうんですけどね(笑)

 

――あはは(笑)でも芽が出てきた喜びってすごいですよね。

 

そうそう。芽を出し始めてね。どなたかが発見したんでしょうけどすごいなあと思います。

 

――初めて見ました、この機械。

 

そうでしょう。なかなか珍しいものだと思います。

 

 

 

*後日,インタビュアーの学生に,川瀬先生が発芽玄米のおにぎりを作ってきてくださいました。

 とってもおいしかったです!