歴史学科 オープンキャンパス体験授業

皆さんこんにちは、歴史学科の森田です。今年度、最後のオープンキャンパスは、『新編武蔵風土記稿』という幕末に幕府によって作られた地誌を読み解くことで、どのような歴史が浮かび上がってくるのか、この点についてお話しました。

 

大前提として皆さんにお話しておかなくてはならないこと。今の東京都の範囲がそのまま、江戸だったわけではありません。たとえば、山手線の沿線、渋谷・新宿・池袋はすべて江戸近郊の農村でした。しかもこれら3つの村は、すべて豊島郡だったのです。もちろん板橋も。

 

その中で板橋について『新編武蔵風土記稿』にはどのようなことが書かれているのか。そこは、宿場町として賑わっていました。日本橋を起点にして中山道を京都へ向かう街道の最初にある板橋宿は、江戸から旅立つ人を送るための宴が行われた場所であり、長い旅を終えてまさに江戸に入ろうとする人を家族や親類縁者、地域の人々が出迎えて、無事の帰還をお祝いする会が行われた場所でもあったのです。

 

その板橋宿の近くに安養院というお寺があって、そこにはかつて武田信玄が所蔵していたお釈迦様の仏像があると書かれています。イラスト付きで。そして、その仏像は、今も安養院にあって、板橋区の指定文化財にもなっているのです。

 

武田信玄の手元から、武田家を滅ぼした徳川家康へ。さらに紀州徳川家を経て、板橋のお寺へ。まさに流転の仏様。その背後にどのような人間模様が展開したのでしょうか。

 

『新編武蔵風土記稿』は単なる地誌ではなく、幕末という時点での江戸近郊農村のさまざまな情報が詰まっています。それを読み現地を歩くことで、江戸近郊農村の知られざる歴史が浮かびあがってくるのです。

 

体験授業を聞いた高校生の皆さんからは、「1つのことに深く入り込んで研究するということにすごく魅力を感じた」「自分の家の近くについて、興味を持ち深く調査することで、こんなにも歴史を楽しく学べるのだと感じた」などと言った感想が寄せられました。

 

『新編武蔵風土記稿』はさまざまな可能性を秘めている書物です。これを素材に江戸にとどまらない東京都の成立過程のダイナミックな歴史に迫ってみたいと思っています。さあ、私と一緒にフィールドに出ませんか?