歴史学科東洋史フィールドワーク2019年度(2)【東洋思想史編】

「東洋思想史」(担当:村松弘一)の授業では儒教・道教・仏教からイスラームに至るまでアジアの思想・宗教にスポットを当てて講義をしています。今年は2回にわたって都内フィールドワークをしました。

 ①林氏墓所・山鹿素行墓 2019.11.3

新宿区の牛込柳町駅の近くには林羅山をはじめとする江戸幕府の儒官の林家の墓所があります。普段、見学はできませんが、年に1回東京文化財ウィークに公開され、ボランティアの方の解説を聞くことができます。儒式の墓(もとは墳丘あり、今は木があり)を目にすることができます。林氏墓所から歩いて15分ぐらいの宗参寺に、山鹿流兵学で知られる儒者・山鹿素行の墓があります。こちらは仏式の墓。墓の横には、素行の思想に影響を受けた乃木希典遺愛の梅が移植されています。

林氏墓所前にて

儒式墓地。墳丘はなく、植樹のみ。

ボランティアの方の解説

宗参寺(山鹿素行墓)にて

乃木大将遺愛の梅「春日野」

②東京媽祖廟・東京ジャーミー 2019.12.6

履修者20が新大久保に集合し、まずは、イスラームの一風景として、駅前の小道のハラールの店やモスクが並ぶイスラーム横町を見学。コリアンタウンを抜けて、大久保駅側の「東京媽祖廟」を訪れる。この媽祖廟は2013年に建設された施設で、入口の奥のエレベータで昇り、4階の観音殿、3階の媽祖殿、2階の関帝殿の順番に参拝した。次に新宿駅まで歩き、小田急線で代々木上原の東京ジャーミーへ。ここには昨年度も訪問させていただいた。昨年は椎名誠さんが取材にいらしていたが、今年はNHKラジオ番組の「音の風景」が録音に来ていた。今年も下山茂さんに解説していただいた。女子学生はヒジャブを身に付け入館し、礼拝堂では女性のみが許される2階にものぼっていた。異なる文化を「体感」した一日だっただろう。

東京媽祖廟にて

媽祖像

4年生のみなさん

4階建てビルの階ごとに廟がある

東京ジャーミー礼拝堂前にて

いつも楽しい下山さんの解説

礼拝堂でも下山さんの解説は続く

2階は女性専用。1階では下山さんがNHKの取材を受ける。

(履修学生の感想)

「媽祖廟やジャーミーはこちらが驚くほど、その場所になじんでいたので、正直びっくりした」(嶋田桃子さん)

「日本では神を祀る場は厳かであるべきという考えがあるが、中国では派手に飾る、イスラム教では伝統的な建築方法とともに清潔感のある白を基調としていた」(牛山恵莉さん)

「東洋からの文化・思想は日本独自の形に変化して浸透した場合もあれば、媽祖廟やジャーミーなど大きく変化することなく日本に入ってきた場合もあることがわかった」(榎本茅菜さん)

「女性は布で髪を隠さなければいけないという本格的なイスラム教の施設に入るのは人生で初めてのことだったので、かなり緊張した」(久保田空さん)

「フィールドワークを通じて、異国の文化や宗教などが身近な日本の街並みにうまく溶け込んでいたことを改めて認識した」(斉藤龍さん)

「東洋の思想は消える可能性もあったが、日本においては根付き、現在も何かしらの形で残っている。私たちはそこからさらにさまざまなことを学んでいくことができるだろうと感じた」(野澤結奈さん)

(文責:村松弘一)