ガイドラインの趣旨
現在の情報社会で私たちは、同一情報を一斉に同じタイミングで取得することが可能であり、生活はますます効率的で便利になっています。しかし、この情報化の進展に伴い、利用者のモラルの欠如やひいては法律への抵触等により深刻な問題も起こっています。
そこで、インターネットの有効な利用に向け、利用上の技術のみならず、使用時のルールやモラルを身に付けることが欠かせないと考えます。そのための指針を本ガイドラインで示します。
淑徳大学が目指すもの
淑徳大学は、「共生」を建学の精神とし、共生社会の実現に取り組む人材を育成しています。各学問分野において、基礎知識と技術を修得し、社会の構 成員として社会生活上求められる汎用的技術や態度及び志向性を身につけることを目指しています。そうした本学の教育・研究等を中心とする大学生活に関連す る活動の中で、インターネットをコミュニケーションツールとしてよりよく活用し、人と人との関係の構築に役立て、社会の要請に応えることが求められていま す。しかし、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(以下、SNSという。)を代表とするインターネット・コミュニケーションは、利用の仕方を十分注意
し、自覚的に使用しなければ、職業倫理や法律に抵触する等、他者への権利侵害が起こりうる可能性が生じます。気軽で便利に使用できることから扱いを間違え 予期せぬ事態が発生しないように、それらの問題発生を最小限に抑えることが重要だと考えています。
特に本学は、教育、福祉、看護等の分野における専門教育を行い、また情報保護を率先すべき公務員の育成を行っています。それらの人材は、他者の人 権を守り育てる役割を担うため、情報の使用についての権利侵害に関しては、より鋭い関心をもって対応する力が求められていることを忘れてはなりません。
本ガイドラインの対象者は、学生、教職員です。たとえ、インターネット・コミュニケーションツールを個人としての立場で使用していたとしても、所 属している淑徳大学の見解と社会からみなされることがあります。使用にあたっては、倫理やモラル、法律を守り、インターネット・コミュニケーションツール の仕組みを理解して自律的に使用し、コミュニケーションツールとして有意義に活用していきましょう。
ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)とは
具体的には、インターネットを使用したコミュニケーションツールを指します。SNSは、他者とのコミュニケーションを図ることを目的としています。友人や知人とのコミュニケーションを円滑にする手段であり、また、今まで知らなかった人と新たな関係を構築する方法としても有効に機能します。代表的 なものは、Facebook、LINE、Twitter等があげられます。それは、文字情報の発信にとどまらず、動画、音声等の発信が可能であり、リアル タイムに他者とのつながりを得ることができます。
現在は、スマートフォンやタブレット端末の普及により、より便利に情報発信・受信ができるようになり利用者は、増加しています。しかし、利用を誤 ると自分だけではなく、他者にも被害を与えることにもなりかねない道具でもあります。それらの可能性を熟知して有効に利用することが現代社会において求め られています。
インターネットモラルに関して
ここでのモラルとは、情報社会で生活するために、全ての使用者が身に付けておくべき考え方や言動や主体的な態度のことを示しています。モラル は、規則化されているものを指すのではなく、自分自身の内面に依拠する規範のことですから、自分自身で自律的にどうインターネットにかかわるかということ を常に意識しておく必要があります。
インターネット上でも実社会における人との付き合い方や気遣いが必要なことは言うまでもなく、それ以上に書き込んだ内容は不特定多数の人が見る ことを意識する必要があります。各自が淑徳大学の一員であることを自覚し、虚偽や不確かな情報は絶対に発信してはなりません。正確な情報を伝えることを常 に意識しましょう。そこでは、閲覧者に敬意を払うことが求められます。
具体的には、次のような情報は絶対に発信してはなりません。
- 誹謗中傷する内容
- 他人のプライバシーにかかわる内容
- 公序良俗に反する内容
- 人種、民族、言語、宗教、身体、性、思想、信条等に関する差別的な内容
- 研究上、職務上の秘密事項
法令遵守に関して
インターネットの普及に伴い、サイバー犯罪を取り締まるための法律、不正アクセス禁止法、プライバシー保護や個人情報を扱う事業者規制のための 法律、迷惑メールを規制する法律、著作権保護のための法律など、様々な法律が制定されてきています。特に、著作権、肖像権、商標権等の権利については、安 易な気持ちで侵害することがないよう注意を払うことが大切です。
インターネットからの情報や画像を安易にコピー&ペーストして使用することや、Facebookにおけるタグ付け等、無断での個人情報の掲載は対象者のプライバシー権を侵害することになることを、自覚することが求められます。具体的には、次のような行為は、法的な問題となります。
- Webサイトの画像や映像を無断で他のWebサイトに転載する行為は、著作権の侵害
- 無断で他者の写真等をSNSで公開する行為は、人格権、肖像権の侵害
- ブランドのロゴ等の商標登録されているものを無断でSNSやブログに転載する行為は、商標登録権の侵害
- インターネットに他者を批判する内容等を書き込みをする行為は、プライバシーの侵害、名誉毀損罪
- 侮辱罪等の問題
利用上の注意に関して
インターネットに発信した情報は、完全には削除できないことを十分に自覚し、そこでの発言や写真は一生残ることを自覚しましょう。さらに写真を投稿 する際は、位置情報の設定に注意するなど個人情報が特定されるような情報発信には、細心の注意を払いましょう。インターネットの特徴をよく理解し、スマー トフォンやタブレット端末の機能を熟知し、使用するようにしましょう。特にアプリケーションツールの仕組みも理解し、アプリのバージョンアップごとや自分 の書き込みの内容や使い方に合わせて設定を見直す習慣をつけましょう。
インターネットが有する特徴を理解したうえでの使用時の具体的な注意事項は、以下のものです。
(1)「公開されやすい」世界中から自分と無関係な第三者もアクセスできるので、自分では制御や管理が出来ず秘密にしておきたいことも知られてしまう可能性がある。このことにより、プライベートな会話も皆に知られ、悪意を持った書き込みや写真の公開もされてしまう。
(2)「つながりやすい」知らない第三者が、自分の情報や書き込みを見ることによって悪意をもって利用されることがある。SNS上から推察する人格と現実の人格が大きく異なり、犯罪等に巻き込まれることが起こりえる。
(3)「拡散しやすい」相手(社会が)が思ってもみない受け取り方をし、炎上の対象となってしまう。そのため、軽い気持ちの冗談や悪口、誤解を招く差別的な表現等が、知ら ない所で知らない間に想像以上に広がる。後悔して削除しても既に手遅れになることがある。また、掲載情報が誤っていることもあり、それが広がり自分の行動 が負の結果となることがある。
(4)「保存しやすい」自分の書き込みは、長時間に亘って残ってしまい、過去の恥ずかしい記録も消すことができない(デジタルタトゥ)。その過去の記録が就職試験の際に人事担当者が評価の一部になる可能性もある。
(5)「個人を特定しやすい」個人を特定されないようにしているつもりでも、公開情報を組み合わせて個人が特定され、自分の家族や友人までもの個人情報が知られてしまうなど、個人が突きとめられてしまうことがある。