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学長メッセージ

コロナ禍と利他主義

淑徳大学 学長 磯岡 哲也(いそおか てつや)

磯岡 哲也学長 卒業生メッセージ

世界的規模で拡大するコロナ禍により、学生諸君にキャンパスでの通常の学生生活を提供することができず、たいへん心苦しい思いでおります。コロナ禍の少しでも早い終息を願います。

さて、コロナ禍への対応について、世界の識者の論考で、アルトゥルイズム(エゴイズムの反意語=利他主義)にかかわるものがいくつか見られます。この用語は宗教社会学で扱われ、生物学や心理学等でもそれぞれの視点から研究が見受けられます。しかしここでは複雑な定義等は留保して、コロナ禍への対処として論じられている利他主義の基本的な考え方をみたいと思います。

ここでは、フランスの経済学者・未来学者のジャック・アタリ氏に着目します。アタリ氏は、大統領特別補佐官や欧州復興開発銀行総裁を歴任した実践的な思想家で、コロナ禍に対しても利他主義の立場から発言しています。氏はまず『2030年ジャック・アタリの未来予測』(邦訳2017)のなかで、2030年以前に起こる人類の異常事態の一つとして、「大勢の人が命を落とすまで治療法のわからない新型ウィルスが発生する」と予測しています。

コロナ禍については、「パンデミックという深刻な危機に直面した今こそ、『他者のために生きる』という人間の本質に立ち返らねばならない。利他主義という理想への転換こそが、人類のサバイバルの鍵である」と主張します。また「自らが感染の脅威にさらされないためには、他人の感染を確実に防ぐ必要がある」ことから「利他的であることは、ひいては自分の利益となる」としています。そして、自己と世界は相互依存しており、自己の幸福は他者の幸福に依存することを自覚すべきと考えます。氏はさらに、学校教育の場で、利他主義や寛容な精神を養う教育を実践することを主張しているのです。

淑徳大学の建学の精神は、学祖長谷川良信先生よりいただいた「他者とともに生きる」、すなわち「利他共生」であります。この原理的精神は、コロナ禍の状況にあって、ジャック・アタリ氏の利他主義とも一脈通じる普遍的価値を内包しているように感じ、教育にたずさわる者として意を強くした次第です。

大学広報「Together 231号」より

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