“しあわせの王様”とは、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という難しい病の中にいらしても、常に前向きに様々な事柄に挑戦し続けていらっしゃる舩後靖彦さんのことです。
病苦さえ 運命(さだめ)がくれたゲームだと 思える我は 「しあわせの王」
舩後さんの著書「しあわせの王様~全身麻痺のALSを生きる舩後靖彦の挑戦」からの一文です。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)とは、体中の筋肉が徐々に弱っていく神経の病気です。この病気は、手足が動かなくなり、食べることも、話すことも思うようにできなくなっていまします。
6月25日 老年看護援助論Ⅱの授業の一環として、舩後靖彦さんに講義をしていただきました。

舩後さんは、自らが行う講義を「能業」と表現されます。
受動的に受ける授業でなく、あくまでも能動的に、自分の頭や心を自分で動かしながら聞く授業という意味です。
講義は、このようにスライドとコンピューターによる意思伝達装置「伝の心」を用いて行われました。


テーマは
「人間の価値とは -障がい者の価値はここにある」
舩後さんは、宝石商としてお仕事をされていた42歳の時にALSを発症されました。
その時から今日に至るまでの、出来事やその時々の思いを語っていただきました。
そのお言葉、一つ一つにはとても重みがあり、将来、看護者として生きていく私たちには忘れられない日となりました。
◎人の価値は生産性だけで決まるものではない。空間・時間・存在を考察することによって測られること
◎いのちとは、人に感動を与えるもの。いのちが生むものは感動であること
◎生きているだけで価値がある。人はどんな姿になっても楽しむことができること
◎看護者による潜在的な障がい者への差別的な対応があったこと
看護者として、人として生きていくにあたり、とても大切な事柄を教えていただきました。
学生のリアクションペーパーからは
〇これまでALSの病態やそのケアについてはたくさん学んできたが、ALS患者さんの思いについてここまで深く考えたことはなかった。「自分が当事者だったら」ということを考えて接する人とそうでない人では患者さんに対する接し方が違うと思った。ALSと宣告された人でないと完全に理解することは難しいかもしれないが、その想いをわかろうとする、想像しようとする人でありたいと思う。
〇人間はどんな姿になっても、人生を楽しむことができるという言葉がとても印象に残った。その言葉を実現できるような介護や看護を実践していきたいと強く思った。
〇援助者は、コミュニケーションが困難ということを障壁とせず、相手の意思を察して、その意思に基づいて看護が行われるべきだと思った。
などのたくさんの学びや感想が書かれていました。

舩後さんから、看護者として生きていくにあたり、大切な事をたくさん教えていただきました。そして、たくさんの勇気もいただきました。
