教育内容
看護学研究科看護学専攻修士課程では、本学の建学の精神である「大乗仏教の精神に基づき、社会福祉の増進と教育とによる人間開発・社会開発に貢献する人材の育成」を教育の基本に据え、地域社会の人材需要や大学院進学希望者の進学需要を踏まえて、看護学分野における教育内容を絞り込んだ教育課程として編成しています。具体的には、看護学分野に関するより高度な専門的知識と応用的能力を獲得するとともに、看護学研究に必要な手法や能力を身につけることにより、看護の実践と研究の推進、人材育成を行いうる人材を養成します。
カリキュラム
「基礎科目」、「看護展開科目」、「看護管理科目」、「地域連携・協働科目」、「研究指導科目」の各科目群を設け、高度な専門性を有した人材として必要となる理論的知識と応用的能力を体系的に身につけることが可能となるよう教育課程を編成しています。また、自己の研究領域とその関連領域についても同時並行的に履修できるように編成しています。
本学大学院総合福祉学研究科社会福祉学専攻および心理学専攻修士課程に配置されている授業科目を4単位まで課程履修要件の単位数に参入することができます。
授業科目区分 | 授業科目の名称 | 配当年次 | 単位数 | |
必修 | 選択 | |||
基礎科目 | 保健医療福祉学特論 | 1前 | 2 | |
看護学研究特論 | 1通年 | 4 | ||
看護倫理学特論 | 1後 | 2 | ||
看護政策学特論 | 1 · 2 後 | 2 | ||
看護教育学特論 | 1 · 2 後 | 2 | ||
ターミナルケア(看取りをめぐる諸問題) | 1 · 2 前 | 2 | ||
臨床ケア論 | 1 · 2 前 | 2 | ||
病理病態学特論 | 1 · 2 後 | 2 | ||
看護展開科目 | 基礎看護学特論 | 1前 | 2 | |
基礎看護学演習 | 1後 | 2 | ||
小児看護学特論 | 1前 | 2 | ||
小児看護学演習 | 1後 | 2 | ||
母性看護学特論 | 1前 | 2 | ||
母性看護学演習 | 1後 | 2 | ||
成人看護学特論 | 1前 | 2 | ||
緩和ケア特論 | 1前 | 2 | ||
成人看護学演習 | 1後 | 2 | ||
老年看護学特論 | 1前 | 2 | ||
老年看護学演習 | 1後 | 2 | ||
看護管理科目 | 看護管理学特論 | 1前 | 2 | |
看護管理学演習 | 1後 | 2 | ||
地域連携・協働科目 | 精神看護学特論 | 1前 | 2 | |
地域看護学特論 | 1前 | 2 | ||
地域・精神看護学演習 | 1後 | 2 | ||
公衆衛生看護学特論 | 1前 | 2 | ||
公衆衛生看護学演習 | 1後 | 2 | ||
研究指導科目 | 看護学特別研究 | 1・ 2 通年 | 8 |
基礎科目
看護学を発展させる基盤となる科目として、保健、医療、福祉にかかわる各専門職の連携・協働のあり方を検討する科目、看護研究に関する研究手法や研究能力を修得する科目、看護実践の場における倫理的判断や倫理的課題に介入できる能力を高める科目を必修とし、他を選択科目としています。■ 保健医療福祉学特論 | 保健、医療、福祉にかかわる各専門職の連携・協働のあり方を検討する。 |
■ 看護学研究特論 | 研究者や教育者にも、指導的看護職者や看護管理者にも共通的に求められる看護研究に関する研究手法や研究能力を修得する。 |
■ 看護倫理学特論 | 看護現場における倫理的判断や倫理的課題に介入できる能力を高める。 |
■ 看護政策学特論 | 看護政策をめぐる諸課題や政策決定過程を理解する。 |
■ 看護教育学特論 | 学生や看護師への看護教育及び患者や家族への指導に関する知識と能力を高める。 |
■ ターミナルケア(看取りをめぐる諸問題) | 終末期の患者に対して身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するための総合的な措置や看取りをめぐる諸問題についての理解を深める。 |
■ 臨床ケア論 | 理性と感性の関係、聴ける、見えるという援助者のケアの実践力を育てる。 |
■ 病理病態学特論 | 看護実践の質を高めるために必要となる病態に関するアセスメント力を高める。 |
看護展開科目
看護学における専門領域ごとに高度な専門的知識と応用的能力を身に付けるための「特論」と、各看護援助に関する最新の知見や動向に関する理解を深め、看護の対象の特性や看護の場面に応じた現象を科学的に探究するための「演習」を選択科目として配置しています。■ 基礎看護学特論
■ 基礎看護学演習 |
看護学の基本的かつ主要な概念や看護理論と看護実践に必要となる基礎看護技術の展開や体系化に関する能力を高める。 |
■ 小児看護学特論
■ 母性看護学特論 ■ 成人看護学特論 ■ 緩和ケア特論 ■ 老年看護学特論 |
小児看護、母性看護、成人看護及び老年看護に関する高度な専門的知識と応用的能力を身につける。 |
■ 小児看護学演習
■ 母性看護学演習 ■ 成人看護学演習 ■ 老年看護学演習 |
各看護援助に関する最新の知見や動向に関する知識を深め、看護の対象の特性や看護の場面に応じた現象を科学的に探究する。 |
看護管理科目
看護におけるマネジメントについての能力を高めるための「特論」および「演習」を選択科目として配置しています。■ 看護管理学特論
■ 看護管理学演習 |
看護専門職の役割と看護の質保証や看護師としての自律と協働、キャリア開発、チームアプローチ、人的資源管理など、看護におけるマネジメントについての能力を高める。 |
地域連携・協働科目
地域の保健・医療・福祉分野における多職種の連携・協働に関する高度な専門的知識と応用的能力を身につけるための「特論」と、各看護援助に関する最新の知見や動向に関する理解を深め、看護の対象の特性や看護の場面に応じた現象を科学的に探究するための「演習」を選択科目として配置しています。■ 地域看護学特論
■ 精神看護学特論 ■ 公衆衛生看護学特論 |
地域で生活する人々の健康の維持・増進を図るための専門的知識と応用的能力を身につける。 |
■ 地域・精神看護学演習
■ 公衆衛生看護学 |
各看護援助に関する最新の知見や動向に関する理解を深め、看護の対象の特性や看護の場面に応じた現象を科学的に探究する。 |
研究指導科目
各自の看護に関する課題を見出し、自らの研究課題について科学的に探究する能力を養うための「看護学特別研究」を必修科目として配置しています。■ 看護学特別研究 | 各自の看護に関する課題を見出し、自らの研究課題について科学的に探究する能力を養う。1年次後期より一貫した演習形式による研究指導を行い、研究成果を修士論文として完成させるまでのプロセスを指導する。 |
履修モデル
研究者・教育者志望 成人看護学分野 2年制コース
前学期 | 後学期 | |
1年次 | 保健医療福祉学特論(必修)2
看護学研究特論(必修 通年)4 看護倫理学特論(必修)2 成人看護学特論 2 看護管理学特論 2 公衆衛生看護学特論 2 |
看護学研究特論(必修 通年)4 成人看護学演習 2 看護管理学演習 2 公衆衛生看護学演習 2 看護学特別研究 ※ |
2年次 | 看護教育学特論 2
臨床ケア論 2 看護学特別研究 ※ |
看護学特別研究 8 |
(科目名後の数値は単位数を表す)
看護管理者志望 看護管理学分野 3年制コース
前学期 | 後学期 | |
1年次 | 保健医療福祉学特論(必修)2
看護学研究特論(必修 通年)4 看護倫理学特論(必修)2 看護管理学特論 2 ターミナルケア2 |
看護学研究特論(必修 通年)4
看護管理学演習 2 |
2年次 |
基礎看護学特論 2
看護政策学特論 2 看護教育学特論 2 公衆衛生看護学特論 2 看護学特別研究 ※ |
基礎看護学演習 2
看護学特別研究 ※ |
3年次 | 看護学特別研究 ※ | 看護学特別研究 8※ |
(科目名後の数値は単位数を表す)
授業ピックアップ
看護学研究特論
看護学研究を進めるための知識・基本的手法について学習します
看護学を発展させるための研究の意義および重要性を理解し、看護学研究のプロセスを学び、基本的な研究能力を身につけるための科目です。文献検索および文献検討の方法、研究テーマ・目的の設定、研究デザイン、データ収集方法およびデータ分析方法の種類と概要、研究倫理および研究協力者への倫理的配慮等、研究を進める上で必要とされる知識および研究計画書の作成までのプロセスを学びます。
看護学研究の方法として、量的研究および質的研究の特徴と研究過程を学習し、研究成果を学会や学術雑誌に発表するためのプレゼンテーションおよび論文作成に関する基本的な手法について習得します。さらに、看護学領域の研究論文をクリティークする際の視点を学び、クリティークする能力を身につけていきます。
看護学研究の方法として、量的研究および質的研究の特徴と研究過程を学習し、研究成果を学会や学術雑誌に発表するためのプレゼンテーションおよび論文作成に関する基本的な手法について習得します。さらに、看護学領域の研究論文をクリティークする際の視点を学び、クリティークする能力を身につけていきます。

ゼミピックアップ
看護管理学
茂野 香おる(教授)
看護管理学分野を専攻し修士論文を仕上げて修了する大学院生は絶えることなく、毎年2人ないし1人ずつ輩出しています。全員が臨床で働きながら長期履修コースで大学院生として学んでいますので、3年生、2年生、1年生の各学年の大学院生が縦のつながりを大切にして、職場とは異なる場で日常とは異なる仲間とのディスカッションを楽しんでいます。先輩のうしろ姿だけでなく、実際の研究データに触れ、共に考えをめぐらす時間を持てるのが、看護管理学ゼミの特長です。
これまでの修士論文テーマは、「神経発達症の傾向のある新卒看護師の支援~主任看護師の視点から~」「看護師間の人間関係に関するストレスを感じた人の経験」「看護師の職業継続を支える看護管理者の関わり」「新任看護管理者への支援の在り方」「退院支援の質向上に向けた取り組み」「現任教育として看護実践研究を行う意味」など、看護管理者であればだれもが抱く身近な疑問に関連するものが多く、他にも「遷延性意識障害のある人の在宅療養を支える家族の思い」「訪問看護師の看護実践の共有の実態」など、広範囲にわたっています。修了後は各種学会で発表後、誌上発表を通して看護に還元できることを目指しています。看護実践現場で働く看護職者の能力開発や看護実践の質の向上を目指す方、一緒に学びませんか。
これまでの修士論文テーマは、「神経発達症の傾向のある新卒看護師の支援~主任看護師の視点から~」「看護師間の人間関係に関するストレスを感じた人の経験」「看護師の職業継続を支える看護管理者の関わり」「新任看護管理者への支援の在り方」「退院支援の質向上に向けた取り組み」「現任教育として看護実践研究を行う意味」など、看護管理者であればだれもが抱く身近な疑問に関連するものが多く、他にも「遷延性意識障害のある人の在宅療養を支える家族の思い」「訪問看護師の看護実践の共有の実態」など、広範囲にわたっています。修了後は各種学会で発表後、誌上発表を通して看護に還元できることを目指しています。看護実践現場で働く看護職者の能力開発や看護実践の質の向上を目指す方、一緒に学びませんか。

成人看護学
成人看護学では、 理論などを用いて、 臨床で起きる現象 を様々な視点でとらえなおし、看護の可能性と意味を考えることができるようにゼミを行っています。「臨床での現象のとらえなおし」を行うことで、新たな気づきを得て、明らかにすべき疑問が浮かび上がることもあり、実践知と研究の往還性を維持した研究テーマの絞り込みにつながります。また、論文をクリティークしながら日々の看護で実践したこと、感じたことを言語化することは、自身の看護を見つめる機会にもなります。成人看護領域のゼミでは複数の教員がかかわり、研究の基盤となる考え方を学びつつ、より実践的な視点で研究に取り組めるようにサポートしています。

地域看護学・公衆衛生看護学
「人生100年時代」という言葉を、一度は目にしたこと、耳にしたことがあるのではないでしょうか。「日本において2007年に生まれた子どもの約半数は107歳より長く生きる」という推計結果も存在しています。世界中から長寿が注目されている日本ですが、そこに暮らす誰もがハッピーでいるためには、何が必要なのでしょうか。何をすれば良いのでしょうか。
全ての年齢層、全ての健康レベルの、個人、家族、集団のwell-being実現には、少し固い言い方ですが、多職種が連携し、当事者主体の取り組みを地域に根ざした自然な形で促進していくことが求められると考えます。私たちの研究室は、保健、医療、福祉、教育、心理等の専門職の実践に基づく経験的根拠と、研究による科学的根拠の両側面から、コミュニティ・エンパワメントに向けた仕組みづくり、街づくりを探求しています。その街にいるだけでハッピーになれる、そんな街づくり研究に一緒に取り組みませんか?

全ての年齢層、全ての健康レベルの、個人、家族、集団のwell-being実現には、少し固い言い方ですが、多職種が連携し、当事者主体の取り組みを地域に根ざした自然な形で促進していくことが求められると考えます。私たちの研究室は、保健、医療、福祉、教育、心理等の専門職の実践に基づく経験的根拠と、研究による科学的根拠の両側面から、コミュニティ・エンパワメントに向けた仕組みづくり、街づくりを探求しています。その街にいるだけでハッピーになれる、そんな街づくり研究に一緒に取り組みませんか?


看護学研究科修士論文一覧
専攻領域 | 修士論文テーマ | |
---|---|---|
1 | 看護管理学分野 | 社会人経験のある看護師が成長を実感するまでの経験のプロセスとその意味 |
2 | 看護管理学分野 | 訪問看護ステーションにおける看護実践の共有
―単独で看護実践に向かい気持ちに焦点をあてて― |
3 | 看護管理学分野 | 多重な役割を持つ中堅看護師の職業継続を支える看護師長の関わり |
4 | 看護管理学分野 | 地域包括ケア時代を担う急性期病院の病棟看護管理者の退院支援の質向上に向けた教育的アプローチ
~同行訪問を経験した病棟看護師への関りに焦点を当てて~ |
5 | 看護管理学分野 | 看護管理者への昇進というキャリアの移行期に生じる心理的な変化の様相 |
6 | 看護管理学分野 | 在宅療養する遷延性意識障害のある人を支える家族の思い |
7 | 看護管理学分野 | 看護師間の人間関係に関するストレスを感じた人の経験 |
8 | 看護管理学分野 | 神経発達症の傾向のある新卒看護師の支援
-主任看護師からの視点から- |
9 | 基礎看護学分野 | 熱布を用いたバックケアにより感じる気持ちよさ
-看護技術がもたらす安楽の「気持ちいい」反応に焦点をあてて- |
10 | 基礎看護学分野 | 看護専門外来に通院する保存期慢性腎不全患者の 自己管理を促す看護師のかかわり |
11 | 基礎看護学分野 | 精神科慢性期病棟に勤務する熟練看護師の看護実践の特性とその卓越性 |
12 | 小児看護学分野 | 気管切開管理を必要とする子どもの家族が在宅療養に踏みきるきっかけ |
13 | 小児看護学分野 | 思春期の小児がん経験者が考える外来受診の意味 |
14 | 成人看護学分野 | 一般病棟看護師の「終末期慢性疾患患者の死」に対する向き合い方に関する検討 |
15 | 成人看護学分野 | 進行がん患者の療養のプロセスに関わる一般病棟看護師の体験と生を支える看護ケアの繋がりの検討 |
16 | 成人看護学分野 | 排尿ケアチームにおける実態調査
―カテーテル関連尿路感染症の減少とADL向上においての有効性に関する検証― |
17 | 成人看護学分野 | 重粒子線治療を受けたがん患者の闘病体験の中にあるレジリエンスに関する研究 |
18 | 成人看護学分野 | ストーマケア技術教育を受けた介護サービス担当者が実践するストーマケアの変化の実証 |
19 | 成人看護学分野 | フットケア外来における治療前後の変化とケアの治療効果 |
20 | 成人看護学分野 | 在宅療養支援診療所に勤務する看護師のがん末期患者に対する臨死期のケア経験および役割と自己効力感に関する研究 |
21 | 地域看護学・公衆衛生看護学分野 | 児童虐待予防に向けた母子保健担当保健師と要保護児童対策地域協議会の連携システムに関する研究 |
22 | 母性看護学分野 | 緊急帝王切開術を受けた母親の出産体験に影響する要因 |
23 | 母性看護学分野 | 産科混合病棟勤務助産師の職業的アイデンティティに関する研究
-思い描いていた助産業務とのギャップおよび職業キャリア成熟との関連- |
24 | 母性看護学分野 | 高校生における交際相手との性に関わる話し合いの必要性の認識
-ライフプランの共有と性行動に対する気持ちの相互理解・尊重との関係- |