発達臨床研究センターの臨床方法と特色
(1)一人ひとりの発達にあわせた最適な治療教育プログラム
治療教育の実施に際しては、お子さんの現在の発達段階や個人内差をアセスメントし、それを踏まえて、一人ひとりの発達に合わせた指導課題を設定し、すすめていきます。(2)個別療法の重視
一人ひとりの発達にあわせた最適なプログラムで支援をすすめていくためには、個別療法の充実が重要です。当センターでは、週2日(幼児)ないし週1日(小学生)の個別療法を通して子どもたちが外界にしっかりとかかわり、大人とやりとりを重ねていくことを重視しています。そのための独自の教材開発や系統的な学習ステップ、支援方法が工夫されています。(3)集団療法の保障
当センターの集団療法は、個別療法と同様に、集団としての発達段階を見極め、活動内容を厳選してプログラムを構成し、展開しています。主に、音楽療法、身体活動、認知的な側面を取り入れたプログラムとなっています。お子さんの発達段階に合わせた集団療法の参加を保障しています。(4)感覚運動・認知・言語の治療プログラム、教材・教具が充実していること
発達につまずきのある子どもの支援において、感覚・運動、認知、ことば・コミュニケーションといった様々な発達領域に働きかけることが大切であると考えます。これまでの実践に基づいた指導プログラムや、開発された2000点をこす教育・教具を用いて、子どもたちの生き生きとした育ちや学びにアプローチしていきます。(5)対人関係、情緒の安定を大切にした指導
子どもたちの発達が促進され、のびのびとたくましく育っていくためには、その前提に、情緒の安定と対人関係の豊かさが必要です。そのためには集団活動はもちろんのこと個別的な課題学習においても、その内容が子どもにとって楽しく生き生きとした場面となるようこころがけなければなりません。私たちの実践も決して完全なものとはいえませんが、子どもたちの対人関係の発展と情緒の安定は、もっとも大切にしなければならない視点と考えています。(6)関係機関との連携
必要に応じて、お子さんが在籍している幼稚園・保育所・こども園、小学校、その他の通所機関と連携し、最善の対応や環境調整について検討をしていきます。(7)保護者へのサポート体制
お子さんが実際に指導を受けている場面を見ていただきながら、発達の経過や今後の方針等、個別的にスタッフが対応いたします。ご家庭での困りごとなども、ご相談いただきよりよい対応方法を共に考えていきます。また、年数回、保護者を対象とした講演会を開催しています。プログラムの内容
個別療法(個別課題学習)、集団療法を組み合わせて行います。下図のように週2回3セッションでプログラムが構成されます。プログラムの例(週2回)
(1)個別療法
- 週2回行われます。
- ひとりひとりの子どもの発達段階に合わせた、様々な教材を用いながら進められます。
- 視知覚、聴知覚、記憶、模倣、手先、発語のような知恵(認知)の発達を促すとともに、ひととかかわることの楽しさ、相手や状況に合わせていくことといった、対人関係や情緒の側面も重視して行っていきます。
(2)集団療法
- 週1回行われます。
- 発達段階や情緒の安定の度合いによって、3~7人程度のグループで行われます。
- 活動内容はグループによって異なりますが、音楽活動、運動・認知活動、コミュニケーション活動を組み合わせて行います。
- 音楽活動では、楽器を操作して音を出す活動・うたを歌う活動・音楽のテンポに合わせる活動・うたや音楽に合わせて動きをまねる活動・友達と順番に行う活動などが組み合わされます。
- 運動・認知活動では、運動器具を用いたサーキット活動が中心となりますが、活動の結び目をつなげていく活動・広い範囲を見分けていく活動・相手の動きをまねする活動などの認知的活動や、相手に気持ちを伝える活動・友達と一緒に行う活動など対人関係面での活動が組み合わされます。
- コミュニケーション活動では、子どもの状態に応じて、言葉での伝達の他に、身振りや写真を使って伝達する活動が設定されます。