エッセイストの岸本葉子さんの授業が行われました

7月18日(金)、人文学部表現学科の必修授業「表現文化入門」で、岸本葉子客員教授の授業が行われました。

 

エッセイストの岸本葉子さんは、『ちょっと早めの老い支度』『「そこそこ」で生きましょう』など、ひとり暮らしの女性の暮らしを何気なく綴るエッセイで知られています。40歳で虫垂がんを発症してからは、患者である自身を客観的に観察しながらユーモアあふれる筆致で描き、『がんから始まる』など闘病記に新たな境地を開きました。その他、和のある暮らし、食生活といった日常エッセイ、また旅紀行など哲学と美意識の光る暮らしぶりも、数多くのファンを集めています。

 

この30年で約80冊の本を著している岸本さん。学生時代から文筆家の道を目指していたのでしょうか?授業は、白寄まゆみ教授からのインタビュー形式で進みました。

 

大学時代はアルバイトをしながら、下宿代から生活費まで自らまかなっていたという岸本さん。就職にあたっては、当時フリーランスの文筆家という生き方など頭に浮かばず、会社員になるのが当然だと思っていたそうです。第一希望はテレビ局の制作でしたが、最後は生命保険会社に就職を決めました。卒業間際に、理不尽な思いもした就職体験談を1カ月で一気に300枚も書き上げて、それを出版社に持ち込んだそうです。ところが、その処女作が出ても原稿依頼は1件も来なくて、下宿の4畳半の部屋と会社との往復・・・。その後、会社を辞めてエッセイストとして歩み始めることになります。

 

文筆家を目指す学生もいるだけに、岸本さんのこれまでの軌跡に、みな聴き入っていました。

 

講義形式の3限を終えた後、エッセイを書き上げてきた学生が岸本さんから直接指導を受ける、少人数ゼミ形式の授業が行われました。

 

学生が自ら書いてきたエッセイを音読。「ひっかかるところは、文章のリズムがよくないところかもしれませんね」と岸本さん。時には、皆から笑いが起きる場面も。岸本さんからは、「前半は情報過多なので簡潔に。笑いの起きたところこそ最も大事にしたいところだから、描写を増やしましょう」と丁寧な指導を受けて、書き手は深く頷いていました。

 

エッセイ添削を受けた学生たちは、「少し自信がついた」「もっと書きたいという気持ちがわいてきた」といった感想を口にしながら、岸本さんに深く頭を下げて教室を後にしました。

 

   

 

 

 

 

 

 

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