言霊(ことだま)という言葉を、知っていますか?

7月13日(日)に開催されたオープンキャンパスでの文芸表現コースの体験授業は、そんな問いかけからスタートしました。

講師は、作詞家・作家として活躍されている吉元由美先生。表現学科の客員教授として、大学で授業をしていただいています。

  

 

 

 

 

 

 

吉元先生は、松田聖子さんや杏里さんなどのヒット曲からアニメの主題歌やミュージカルの訳詞まで幅広く手がけられ、著書「こころ歳時記」など日本語に関する本も執筆されています。


先生の代表作といえば、平原綾香さんのミリオンセラー「Jupiter」。ホルスト作曲の「木星」のメロディに、壮大な宇宙観と命への慈しみに満ちた詞がぴったりと重なっています。歌詞を口ずさむと、不思議と心が落ち着いて自分の内なるエネルギーが湧いてくる感じがします。

発売からすでに10年が経つそうですが、今でもこの曲が世代を超えて多くの人に愛され続けているのは、そんな不思議なパワーにあふれた詞にも秘密がありそうです。

 

さて、この日の吉元先生の体験授業に戻りましょう。

 

冒頭の「言霊」の話から、続いて、その背景にある日本人の自然観の話に進んでいきました。

 

 

「日本では、古来より言葉には魂が宿るとして、言葉を大切にしてきた歴史があります。また、日本人は自然のあらゆるところに《八百万(やおよろず)の神》が宿ると考え、自然への畏敬の念をもっていました。こういった自然観を背景に、日本語では  自然の音を繊細に捉えた擬音語や擬声語が高度に発達したと言われています。」

 

 

 

そして、吉元先生が力説されたのは、日本人の繊細な感性によって育まれた日本語を、もっと大切にして欲しいということでした。

たとえば、

◇「いってらっしゃい」「おかえりなさい」「いただきます」「ごちそうさま」「ありがとう」

  に込められている祈りや感謝の気持ちを理解し、きちんと挨拶をすること。

◇好きな人に思いを打ち明けるときに、「告る(こくる)」と略した言葉を使うのはやめる  など。

 

これらの話には、参加していた高校生だけでなく、後方のお母様方も大きくうなずかれていました。

 

こうして日本語についての認識をあらたにした後、体験授業の後半では「想像力拡大法」と名づけられたワークと、「香り」から連想するワークを行いました。

 

吉元先生の一連の授業からは、「感じる心」を育てる重要性が見えてきます。日頃から周囲をよく観察し、言葉を大切にしてこそ、人の心に響く言葉が紡げるようになるのでしょう。

 

「Jupiter」の歌詞が心に残る理由は、私たちのDNAに刻まれている日本人の自然観につながっていること、そして、歌で伝えたい「思い」がひとつひとつの言葉に魂を宿らせていることによるのだなと、あらためて感じた授業でした。   

                          (レポート  文芸表現コース担当:杉原麻美) 

 

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この夏のオープンキャンパスは、残り2回です。

文芸表現コースの体験授業(11:20~) のテーマは・・・

 

●7月27日(日) 「ドラマ」を考える ~人の心を動かす物語とは?~

●8月24日(日) 「喜怒哀楽」を表す~心模様をどう表現する?~

 

いずれも気軽に参加できるワークショップ形式で行いますので、ふるってご参加ください!

2021年10月

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