「情報戦争」「正義」について激論!

 

こんにちは。表現学科の教員の杉原です。
人文学部は、大半の後期授業が今週までに最終回となり、試験や最終課題提出のピークを迎えています。

本日は、表現学科1年生の選択科目「メディア表現論」の最終回の授業をレポートします

先生は、テレビ・ラジオ・ネット等各メディアで活躍されているジャーナリストの
堀 潤(ほり じゅん)客員教授です。

堀潤先生は、NHK報道局で多くの現場取材をしてきた経験と、
現在もキャスター、ラジオパーソナリティとして自分の言葉で視聴者に「伝える」仕事をされている立場から、
メディア表現における様々な問題を授業で取り上げていらっしゃいます.

 

 

前回の授業では、フランスの風刺新聞「シャルリー・エブド」をめぐるテロ事件を取り上げ、
学生は「表現」と「自由」の問題について学んだ後、「風刺画」作成にも挑戦しました。

今日の授業の冒頭では、それらの風刺画をプロジェクタに投影して共有。

表現と自由の関係性、メディア・取材対象・視聴者の微妙な関係性を捉えた秀作もあり、
表現学科の学生のビジュアル化するスキルも発揮されていました。





そして・・・今日のテーマは「情報戦争」と「正義」。

この数日間に日本中を震撼させた
「イスラム国の日本人殺害予告」「つまようじ少年」のニュースを中心に、
実際のネット上の投稿動画も視聴しながら思考を深めていきました。

この2つのニュースの根底にある共通点は何か?
先生からは
 ◇発信者が「大義」を掲げている 
 ◇ネット動画の特性を反映した事件である
という点が指摘されました。


先生が学生に向けて強調されていたのは、
こういった動画を見て「間違っている」「ばかげている」と評するだけでは、
何も始まらない、状況は何も変わらない、ということです。
「なぜ彼、彼らは、このような行動をとるのか?」
「この背景に、社会的などんな真実があるのだろう?」
「こういった連鎖は、どうしたら断ち切れるだろう?」
と考えをめぐらすことが重要だと、重ねてお話されました。


そして、最終授業の締めくくりは、
「正義とは何か?」についてグループ・ディスカッション。
学生は数名単位でグループになり、それぞれの考えを話し合いました。

約15分かけて各グループで議論した内容は、
その場でスマホを使って原稿や写真にまとめ、
先生あてにメール送信。プロジェクタ画面でリアルタイムに共有されます。

ここでも、さまざまなキーワードと視点が出ました。

たとえば
「正義とは個人のエゴであり、定義づけは難しい」
「結局、主導権を握ったものが、正義を語れるのではないか」
「多数派が正義となり、少数派の正義が見落とされることが
 あるのではないか」・・・などなど。
短い時間ながら、いろいろな論点が挙がりました。

堀潤先生からは

「人間は長い歴史の中で、それぞれが正義の旗を奪い合ってきた。
 旗をとったものが『正義』を語り、旗を奪われたものは旗を奪い返そうと、
 また『正義』の旗を掲げる。そういった繰り返しがずっと続いている」

「それを止めるには、『共通の善(共通善)』の共有が必要で、
 『対話』が不可欠とされている。しかし、対話だけでも解決に至らない
 ことが多いのも現実である」

といったコメントが添えられました。

・・・「正義とは何か?」
これは人間社会の本質に触れるテーマであり、いわば「正解のない」テーマです。
でも、考え続けなければならないテーマです。
こういった哲学的な問題に、学生が真剣に自分の言葉で議論していた姿が印象的でした。

堀潤先生の授業は、現在も進行中のニュースを題材に、
「まだ教科書にのっていない」
「答えはないが、何とか自分たちで解決策を考えていくほかない」ことを
理解していく授業 ともいえるでしょう。


  
表現学科の学生は、こうした授業を通じて、
1年生のうちから社会を見る視点を育てています。


もうすぐ2年生、これから彼らが発信していくことに期待が高まった授業でした。

 

 (※堀潤先生のプロフィールとメッセージムービーは
   こちらの「表現学科 特命教授・客員教授紹介」から見ることができます)
   https://www.shukutoku.ac.jp/extra/jinbun/hyougen/professor/allprofile.html             

 

 (人文学部 表現学科  杉原麻美)
 

2021年10月

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