表現学科全員が演劇発表 ~自分への挑戦~

2014年4月スタートの人文学部表現学科の特徴は、「総合芸術である演劇に全員が挑戦することで、自分の可能性を引き出す」という、他大学では見られない教育システムです。従って表現学科のA・B・Cの3クラスの学生は全員4月から毎週2コマ、演劇の授業を受けてきました。その成果発表会ですから、学生にとって年末も年始もありません。納得いくまで稽古です。クラスによっては最後の最後、前日まで入念にセリフ廻し、立ち位置並びにダンスのステップ位置確認、歌の稽古、衣装・メークの確認、音響や照明のタイミングチェックなどを重ねて迎えた本番は、まさに「自分への挑戦!」でした。台本は基本的にはオリジナル。おとぎ話などや映画の名作にヒントをもらい学生が書き上げ、学生が演出し、学生が出演し、学生が音響・照明を担当。4月からの授業を担当し、適材適所に学生を配置したのは、文学座演出家で、表現学科演劇授業担当の望月純吉特命教授です。以下写真とともに6作品を紹介します。

 

Aクラス1班

「BACKSTAGE 」~映画の撮影スタッフが織りなす白雪姫の物語~

トップバッターで登場。少し緊張感がある中、順調に話が展開。白雪姫を男がやる!小人や王子が登場。監督の気まぐれな演出に振り回されながらも何とか終了。思いつきの場面展開など、早いストーリー展開に対応した。

Aクラス2班

「赤い罠」 ~1つのリンゴから始まった、少女を取り巻く物語・・・~

芝居の廻し役として小人が語り手で登場。赤ずきんちゃんの純粋な心と、ハートの女王への復讐を実行する王子は、魔女の手先でオオカミだったという落ち。ストーリーの柱となる登場人物の骨格が良く書けていた。ハートの女王の存在感あり。

Bクラス1班

「サウンド・オブ・ミュージック」 ~僕らが奏でる歌とダンスのオンステージ~

まさか「ミュージカル」が見られるとは!ストーリー展開はあの名作の流れを借りながら、現代風に展開。7人の子供の家庭教師「マリア」役が男。これが堂々としていて脱帽。7人の子供の合唱とダンスは稽古の成果が出た。何があっても「前向きに!」その精神が、清々しい仕上げとなった。チームワークの勝利。

Bクラス2班

「北風と太陽」 ~黙って笑え!!~

台本は完全オリジナル。分かりやすい単純な話、大きな演技、メリハリの効いた音声と音響。知らず知らずに笑える。今どきの若いカップルを、俯瞰から見ている北風と南風それに太陽。シンプルな話に、身近な共感として受け止められた。小作品ながら、ピリリと辛い。

Cクラス1班

「部室にて」 ~後ろから誰かがやってくる~

こっくりさんが話の縦糸、部員の人間関係が横糸。一人一人謎の失踪。こっくりさんの人隠しか。怖い話をより怖くしたのが音響と照明。学生の怖いモノ見たさが悲劇を生み淡々と展開した。

Cクラス2班

「ラブライブ~未婚者達の戦い」 ~未婚者達の奮闘記。勝ち組になるのは・・・?~

現代若者事情。結婚しない人たちがいれば、結婚したい人たちもいる。「出会い」の場を提供したテレビ番組の形態を取って進む。最終的に「口先だけの男」がシッペ返しを喰らうことで、落ちになっていた。完全オリジナル台本だった。

 

およそ3時間半に及ぶ長丁場。文学座俳優で客員教授の渡辺徹氏が最後講評を述べた。「まず、長丁場6作品を見て頂いたお客様に御礼を言おう。(学生全員は声を合わせて御礼を言った)演劇は一人で出来ない。見てくれる人がいて、演じる人がいる。うまくいったかどうかは別として、何よりも限られた時間の中で、精一杯打ち込んだ。一生懸命やった。そこに価値がある。そこに思わぬ発見があり、仲間たちとコミュニケーションを取り合い、エネルギーを発散させた。そのエネルギー・パワーが一人一人の財産となる。本当に頑張った。おめでとう!」

 

私も感じたことを最後に記します。「6作品共に、恰好になっていたことが大きい成果だと思う。不安もあっただろう。話し合いもうまくいかなかったこともあっただろう。演劇論でもめただろう。しかし続けることで、話し合うことで少しずつ、少しずつ一人一人の距離が近づいて来た。この演劇成果発表会を真正面から受け止め、挑戦し、やり遂げたことで必ず心に根付く確かなモノを手に入れた!後期試験もこの調子で乗り切って、単位落とすなよ!いいもの見せてくれてありがとう」

表現学科教授 松永二三男

 

2021年10月

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