ラオスのジャール平原

 歴史学科の三宅です。2月にラオス人民民主共和国(以下ラオス)へ調査に行ってきました。今回はラオスの銭貨流通を探るのが目的でしたが、合わせて周辺の遺跡も見学しました。今回はシェンクワン地方のジャール平原にある遺跡群を紹介します。

ジャール平原には、不思議な石の壺が地表に大量に見られます。直径1~2mほどで、高さは1.5~2mほど。数百個が密集して存在し、シェンクワン地方には複数の遺跡群が確認されています。これらは2000年ほど前の墓地で、壺は石棺と考えられています。

 

 

 

 

 

 

 

ところで、この遺跡では見学路に沿って、白と緑に塗られた標識が至る所に埋め込まれています。これが何だかわかりますか?実は不発弾処理が終了した場所と、まだ終わっていない場所を区別する標識なのです。

 

1960年代~70年代に、ベトナム戦争の激化と共産主義勢力からラオス王政を守るためなどの目的で、シェンクワン地方にはアメリカ軍により大量の爆弾が投下されました。そのため、遺跡の周りにもたくさんの不発弾が埋まっていて、今も処理がほとんどされていません。遺跡の見学路の脇には今も多くの爆弾のクレーターが残っており、見学路を外れると危険であることを物語っています。

 

 

 シェンクワンのお土産屋には、不発弾から取り出したアルミで作ったスプーンなどが売られていました。負の遺産を観光客に教えると同時に、記念にお土産を買ってもらおうというたくましさも感じました。私もスプーンを買いました。研究室にありますので、興味のある方はどうぞ見に来てください。

2021年10月

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