表現学科1年生全員が演劇発表 ~仲間と作りあげた演劇~

2016年1月6日(土)、淑徳大学人文学部の一年生全員が「演劇成果発表会」に臨んだ。一人一人の学生の上気した顔、顔、顔が見える。ほとんどの学生は緊張していた。それでも時間がくれば出番となる。逃げ道はない。最後の最後までセリフや立ち位置を確認するなど、会場となった3号館アリーナ1階体育館は、熱気に包まれていた。

指導教員の望月純吉特命教授(文学座演出家)がニコニコしてそんな学生を見て言った。「やることはやって来た」「あとは自分を信じて、仲間を信じてやるだけだ」。文学座俳優である渡辺徹客員教授、清水明彦さんも着席した。

 

いよいよ運命の幕が開く。今回は6作品が全てオリジナル脚本である。

 

1 Bクラス1班「トキワ荘」~キズナが生んだ隠れた名作~

日本漫画界を代表する赤塚不二夫、石ノ森章太郎などの実在した人間を取り巻くストーリー。詳細な歴史的事実を脚本に書き下ろしたセンスと「一つの誤解」から展開する筋を、リアルに描いた。迫真の演技も説得力があり、オープニングから力作が出てきたのでこの後の作品にも当然期待が入る。

 

2 Bクラス2班「フユノホタル」~色と光と音のシンフォニー~

若い世代の等身大の日常が外連味なく、しっかりと描かれていた。ほんの小さな出来事が、他の人にはものすごく大きな感情の食い違いを生む。ぶつかって、はじけて、痛んで、気がついて、本当の仲間の有難味がじわりと伝わる。真剣な演技の連続に息を飲む。裏方・役者の集中力に感心した。

 

3 Aクラス1班「人狼」~真夜中の語り部(リレイター)~

人の心に潜むオオカミのこころ。舞台で殺人が起きる。その犯人は誰か。人の顔をしたオオカミ。見た目は誰か分からない。サスペンスは意外な結末に。

 

4 Aクラス2班「大神さんと7人の八木さん」~ポンコツ家族の更正物語~

分かりやすく、ユーモアあふれるストーリー展開。7人の子供がそれぞれ面白い。将来を心配して父の友人・大神さんが八木家を訪問。次から次へと思わぬ展開にクスクス笑える。一人一人の性格設定が秀逸で話の流れが良い。

 

5 Cクラス1班「神様見習いフルカヌスの冒険」~ゴッドフルカヌス~

入り口はギリシャ神話から。フルカヌスがゼウスの命で現実世界にやってくる。彼の言葉が伝わらない。そこでおきる数々の出来事。思い切ったギリシャの衣装に裏方に回ったスタッフの意気込みが感じられた。

 

6 Cクラス2班「親幽」~死んでいたって友達だろうが~

力作。聞かせる。見せる。感じさせる。思わせる。久しぶりに海外から帰国し、昔の故郷の学校に戻って来た主人公。彼には見える昔の仲間(女子)。しかし彼女は、かつていじめに遭って死んでいたんだ。彼には見えて、他の仲間には見えない死んだ女子学生。主人公の葛藤。いじめていた不良の屁理屈と開き直り。二人は当然激突!迫力あるアクション!真っ向からぶつかって初めて分かる痛みと優しさ。感動的な出来上がりはトリに相応しかった。

 

最後に、渡辺徹客員教授の講評。いつも学生を温かく見守ってくれる心のこもったコメントに、学生達はしっかりと渡辺先生の目を見つめうなずいて聴いていた。どの顔も真剣だ。達成感を感じた顔だ。やった!

 

脚本を手がけた学生、演出、舞台、音響、照明、衣装に回った学生。そして出演者。全ての学生が、悩みながら、葛藤を抱えながら、自分の可能性に挑戦した1月16日土曜日の午後。学生が一つのものを仲間と共にやり遂げたこの日。清々しくキリッとした冬の空気が、板橋区前野町を包んだ。

         
「フユノホタル」 ~色と光と音のシンフォニー~ 「大神さんと7人の八木さん」 ~ポンコツ家族の更正物語~
         

「神様見習いフルカヌスの冒険」 ~ゴッドフルカヌス~

最後に全員で記念撮影

 

(文責;表現学科教授 松永二三男)

2021年10月

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