歴史学科 歴史調査実習 IN深川

皆さんこんにちは、淑徳大学人文学部歴史学科2年の渡邉雄貴です。
 
木枯らしが吹く中、私達は深川へ行ってきました。
快晴に恵まれた今回のフィールドワークでは、多くの発見に出会えました。今回はその記録を紹介したいと思います。

11月25日、1回目のフィールドワークは地下鉄森下駅からスタートしました。そこから新大橋へと行き、雄大な隅田川を一望しました。この橋によって深川の発展は大きく進んだとされています。

さて、新大橋を後にした私たちが次に向かった場所はこの深川の地名の由来の発祥の地である深川神明宮であります。
今からおよそ400年前の昔、ここ深川一帯は三角州で人はまだ住んでいない状態でした。そこに深川八郎右衛門が一族を引き連れてこの地に暮らし始めて土地の開拓を進めていました。その際八郎右衛門が伊勢神宮の大神様の御分霊を祀るために建てた祠がこの深川神明宮の起源とされています。

歴史ある深川神明宮から、今度は誰もが知っている有名人、松尾芭蕉の記録が残る芭蕉記念館にやってきました。
ここでは芭蕉が旅の道中に読んだ俳句、旅の際の服装や使っていた道具類が展示されていました。
また、外にある庭園には芭蕉の俳句にちなんだ草木や花、池があり、芭蕉の愛した自然を感じる事が出来ました。

その後隅田川に沿って歩き、芭蕉庵史跡展望庭園に着きました。
ここは隅田川と小名木川が繋がる角にあり、高台にある庭園からは今ではビル街が立ち並んでいますが、当時は絶景が見られたことがわかります。もちろん、現在のビル街であっても、その景観は素晴らしいと感じました。なお、入り口には俳句を投函するポストがあるので、訪れた際には芭蕉になりきり、一句詠んでみるのも乙なものであると思います。
 
芭蕉庵史跡展望庭園のすぐ近くにあるのが芭蕉稲荷神社です。この神社は大正6年に芭蕉の愛した蛙の石像が偶然発見されたことから、地元の人たちの協力によって芭蕉稲荷が祀られました。ここでは数多くの可愛い蛙の石像を見る事が出来ます。芭蕉さんに感謝の気持ちを込めてお参りしてきました。

きれいな夕日が辺りを包み込む頃に私たちが辿り着いたのが清澄庭園です。この清澄庭園は泉水、築山、枯山水が主体の「回遊式林泉庭園」という形式で、広くて開放感がある庭園です。池には鯉や野鳥などの動物や植物、また芭蕉の句碑もありました。着いた時間がちょうど夕方で、池と夕日が絶妙なコントラストを醸し出しており、風情ある景色を楽しむことができました。

1回目のフィールドワークの最後に訪れたのが深川図書館です。ここにある郷土資料室を見学させていただきました。この図書館で特に印象に残ったものは階段です。ステンドグラスが壁にたくさんあり、幻想的な雰囲気を感じる事が出来ました。資料室には深川を調べるための様々な資料が数多く保管されていて、この地域を調査する際には必ず役に立つことでしょう。

12月2日、2回目のフィールドワークは地下鉄清澄白河駅からスタートしました。

本日最初の目的地は江戸の守護神と呼ばれる霊巖寺です。この寺の境内には寛政の改革を成し遂げた松平定信の墓や江戸六地蔵のひとつである銅像地蔵菩薩坐像が鎮座しており、それらを拝む事が出来ます。江戸六地蔵とは江戸深川の僧、地蔵坊正元の願いによって江戸に入る六街道の入り口にそれぞれ置かれた地蔵であります。江戸の発展に大きく関わっていたこの霊巖寺、ぜひ一度足を運んでみてください。

由緒ある霊巖寺の後に向かったのは深川江戸資料館です。この資料館は普通の博物館とは一味違った展示をしています。資料館の中に江戸時代の深川の街並みが再現されて、まさにタイムスリップしている感覚を味わえます。時代を肌で感じる事が出来るこの資料館、一見の価値ありです。

さて、時代を感じた後は富岡八幡宮へ向かいました。なんと今回、神職の方のご厚意によってお神輿を見せていただく事が出来ました。

この神社は人々に「深川の八幡様」と親しまれており、多くの信仰を集める江戸最大の八幡様であります。見せていただいたお神輿は日本一の黄金神輿であり、純金やルビー、ダイヤなどの宝石が多く使われている神々しいお神輿でありました。

特に一番上に置かれている鳳凰の目には大きなダイヤが使われていて、このお神輿の雄大さを物語っていました。普段見る事が出来ないほど近くで見る事ができ、とても貴重な経験をさせていただきました。

2回目の最後は木場公園に行きました。ここら一帯の地名の事を木場と呼ばれる理由は、江戸時代にはこの辺りに木置き場があった事からこの名前が付きました。この場所に木材が置かれていた理由は、乾燥によるひび割れや虫食いを防ぐ為に水につけて保存する必要がありました。この保存に使う水は海水と淡水が混じった状態が一番良いとされているので、この場所が選ばれました。

2日間にかけて行われたフィールドワークはとても有意義なものでありました。芭蕉や深川の歴史に触れる事ができ、私達の歴史に関する興味関心の幅を広げてくれました。

時間の都合ですべてを見る事が出来なかった場所もいくつかあるので、また訪れたいと思います。

2021年10月

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