日本新聞博物館で学んだ写真の力と報道の視点

みなさんこんにちは。表現学科3年古川慎司です。先日、表現文化研究VI(制作表現)の授業の一環として、神奈川県にある日本新聞博物館(ニュースパーク)を訪れました。


まずは、【日本の海岸線をゆく-日本人と海の文化】の企画展を見学しました。そこにあったのは、日本人と海の文化を掛け合わせた作品である写真――。思わず足を止めてじっくりと見入ってしまうものでした。

なかでも東日本大震災と関わりが深い写真が印象的でした。津波で被害にあった後の写真は、あまりにも生々しく、リアルさを帯びていました。正直見ているのが辛くなる程の写真もありました。

一番印象に残っている作品は、震災直後に出された石巻日日新聞の手書きの「号外」です。大きな模造紙に黒字と赤字の手書きで避難を呼びかけていました。その当時の記憶を蘇らせてしまうほどのインパクトでした。このような作品は、いつまでも忘れてはならない記憶として、後世に残すべきものだと感じました。

その他にも、地球の丸さを感じることができる場所「室蘭地球岬」、どんなに天候が悪くとも毎日時間通りにやってくる波打ち際を走る電車「波飛沫」、荒々しく水をかけ合いながら漕ぎ競っている日本男児の祭り「諸手船神事」など、多くの作品にパワーを感じました。まるで一枚一枚が生きているような、そんな写真ばかりでした。
いつか企画展で見た景色を自分の足で観てみたい、そう思わせるような素敵な空間がそこにはありました。

 

次に常設展示を見学しました。新聞の歴史から製造過程など、新聞やジャーナリズムの役割を学びました。タブレットを使った取材体験ゲームやパソコンで新聞作るコーナーもあり楽しく学ぶことができました。

ここで深く印象に残っていることは、目線によってニュースの出来上がりが異なるということです。展示のひとつとして、夏の高校野球決勝の記事が2つありました。
「歓喜と無念」という題名でした。一方では勝った高校目線で記事が書かれていて、もう一方では負けた高校目線で書かれていました。どの目線で書くかによって感じ方や印象が異なり、上手にこの目線を扱うことができれば、メディアを利用したプロパガンダによる大衆操作が可能だという危機感を覚えました。

 

 

 

私たちは日々生きる日常の中で、気づかぬうちに多くの情報に取り囲まれています。そんな情報の海に溺れないためにも、一人一人が情報を見極める力【メディアリテラシ―】を養っていく必要があると再確認しました。

2021年10月

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