歴史学科2019年度前期の導入科目「歴史学入門」(担当:村松弘一)では、歴史学の方法や史料を紹介する講義(座学)と並行して「歴史」を自ら学び、考えることを目標に、2週間に一度「歴史エッセー」を提出してもらったり、グループで「歴史パンフレット」を作成してもらったするアクティブラーニングを通じて、楽しみながら「歴史学」を学びました。
歴史エッセーは自分の身の回りのモノや事象を題材にその歴史と現在を自由に書いてみるという課題です。学生のみなさんは前期中に5つの作品を提出し、6月14日には相互に作品を評価し、「歴史エッセー大賞」を決定しました。第一回の昨年は岩瀬君(現2年生)が「ペット飲料の歴史」で大賞を獲得しました。第二回の本年度は以下の6名が予選を勝ち抜き、ファイナリストに残りました。
吉原葵さん 「フグの歴史」
宮山朱理さん 「ピアノの歴史」
間宮直樹さん 「罠の歴史」
平子健士郎さん「浅間義雄という人物」
近藤江李子さん「付箋の歴史について」
奥雲拓徳さん 「ペットボトルの歴史」
各3分ずつ作品を紹介して、ルーブリックに基づく評価表で60人全員が投票しました。投票の結果、吉原葵さんの「フグの歴史」が大賞を獲得しました。中国の『山海経』から日本の縄文時代、平安時代の事例、豊臣秀吉の「河豚食禁止令」、そして明治時代の伊藤博文とフグ食解禁までをまとめ、「現代の私たちがフグを安心して食べることができるのは先人たちのチャレンジ精神というものがあった」のだとまとめています。フグの毒をめぐる人々の歴史をわかりやすく書いたエッセーはみんなの心に残ったことでしょう。
「歴史」を学ぶということは、「人間の生き方」を楽しむこと、歴史エッセーを書くことで学生のみなさんはそんなふうに考えてくれたのではないかと思います。
<予選のようす>
<ファイナル 優勝した吉原さんの発表>
「歴史学入門」の後半はグループワークによる「東武東上線沿線歴史パンフレット」の作成をしました。池袋から成増まで10駅のグループに分けて、各駅周辺の史蹟や遺跡・建物、さらには商店街の歴史や老舗の食堂・甘味処を紹介するパンフレットを作りました。淑徳生がいつも乗っている東武東上線を「歴史学」の視点から情報発信する方法を身に付ける。古い写真と今の風景の比較やお店の方のインタビュー(オーラルヒストリー)といった、文献史料だけでなく、複数の歴史情報を収集し、まとめるトレーニングです。7月26日にはプレゼンテーション大会をおこない、ルーブリックに基づく評価表で相互評価をしました。その結果、「ときわ台駅」グループ(柳沢颯人・山下怜司・吉原葵・渡邊魁崇・渡辺里菜・秋葉大和)がみごと優勝しました。この企画は二年目で、昨年よりもさらによいものができたと思います。ただ、まだまだ「ホンモノ」のパンフレットにはなっていません。もっとバージョンアップして東上線とのコラボレーションができたら、「歴史学」で学んだことを社会に活かす経験になるだろうなと思っています。
後学期も歴史学科一年生の学びは続きます。
東上線歴史パンフレットで優勝した「ときわ台チーム」のパンフレット