サービスラーニングセンターからのレポートです。


千葉キャンパスのコミュニティ政策学部は、サスティナブルな福祉社会の実現のためには地域の再生が不可欠であるという認識に立ち、今後そうした場面で活躍できる人材を養成したいと考えています。その実践の場を提供すべく、「サービスラーニングセンター」を設置しています。

石川紀文サービスラーニングセンター長も、地域支援ボランティアセンタースタッフと共に4月当初より度々被災地入りしていましたが、3週間ぶりにキャンパスに戻り、下記報告がありました。大所高所からでなく、あくまでも「現場」にこだわったレポートとなっていますので紹介します。


  1. 「現場で考える」ことの重要性。現場に立ち、現場で考え、現場で決断してほしい。現場を離れると別世界となり、何が重要であるかが見えなくなる。
  2. 「スピードが命」。発生初期段階に限らず、支援にはタイミングがあり、日々変わっていることを把握できるのは現場。
  3. ある被災者の言葉。「日本にとって大震災は不幸だが、政治の貧困がさらに不幸に輪をかけた」。内向きの政争に明け暮れる政治家に被災者を始め国民ははうんざりしている。
  4. 今回の大震災において議会はどのような活動をしたのか検証が必要。前宮城県知事の浅野さんが新聞紙上で「一度議会を無くしたら。議会が無くて困ったという声は被災地からは聞こえて来ない」と述べていましたが同感です。
  5. 平常時の規則やルールに縛られ、未だに大震災に対応しきれていない。
  6. 保守的で改革を拒んでいた組織、動きが遅く住民の批判が集まっている。
  7. 仮設住宅の建設が進む中、入居後の生活はどうか。例えば仮設住宅の周辺が砂利で、高齢者等で転倒しケガする例が報告されている。
  8. 正式な避難所には物資が届いており、私達がいる避難所でも野菜やタマゴ等豊富であるが、数人で民家等に避難してケースの場合、行き届いてない。
  9. 国交省管轄と農水省管轄の港湾では港内のガレキ撤去作業で差が出ているが、私達がいる小さな入り江にある漁港はいまだに自力でやっている。
  10. 遠野市は震災直後から活動を開始し、翌日から市役所職員、市民一体となって炊き出しを行ない、釜石、大槌、大船渡、陸前高田に配食した。遠野市は以前から後方支援基地としての役割を認識し、計画を立てていたので直ちに行動できた。165団体(国の機関、大阪府や静岡県、東大等の大学、NGO、NPO等)が後方基地として遠野を利用し、最初の東大のチームはホテルの宴会場に寝泊りしていた。現在、遠野市は公共施設を開放し、10人ぐらいのグループであれば公民館で自炊、寝泊りできるようにバックアップしている。また「遠野まごころネット」を市内だけでなく全国の団体と一緒に立ち上げ、個人ボランティアの受け入れも当初から拒否していない。
  11. 復興プランに日付を!家屋を流失し、家族を失い、職を失った人に希望を与えるのは日付の入ったプラン。
  12. 教育現場からは、震災対応で授業が捗らず教育支援をしてほしい旨の話があった。また津波による死亡あるいは行方不明の教員、被災している教員も多く、教員が足りない声もあった。
  13. 私達が活動している小学校はバリアフリー化しており、校長先生が「避難所にいる高齢者には助かっています」というお話があった。
  14. 避難所にいる方の一番の心配は「関心が薄れること」です。


息の長い支援、熱の冷めない支援を、肝に銘じよう。