石巻仮設住宅 無料専門家相談会

2月25日(土)、26日(日)、仮設住宅の専門家相談会が行われました。
石巻市内の仮設住宅を、法律や金融の専門家が訪れ無料で被災者の相談を受けるこの催しも2回目となります。
こちらに参加された 総合福祉学部 実践心理学科の藤井慧太さんの感想を紹介いたします。


宮城県石巻市での二日間に渡るボランティア活動を経て、まず大きく感じたのは、3月11日から約一年が経過した今でも、完全復興は遠いということ。なんとなく、離れた地域で暮らす私達には、とりあえず街の片付けは済み、最低限住民の皆さんが生活は送ることが出来ているというイメージを抱きがちですが、廃墟となった建物はまだまだ残っており、全壊判定を受けた住宅に、大した修繕もできずそれでも住み続けている人々が多く居ました。また、仮設住宅に入居できたり、直接の目に見える被害を受けなかった地域の人々も、地震に付随しておきた雇用やお金の問題、近親者を亡くしてしまったショックなど、石巻の人々は、多岐に渡る悩みを抱えていました。
 

復興はまだまだですが、しかしながら同時に感じたのは、昨年の3月とは明らかに違う環境に変化し、前進しているということ。勿論昨年の時点で私は一度も東北に向かったことがなかったですが、住民の方々から、多くの困難な問題を抱えながらも、ただ打ちひしがれているだけではなく、現状を打破しようというメンタリティが感じられました。ご相談の後、目立った解決策、強力な打開策を提示できなかった場合も残念ながら少なからずありましたが、それでも少しでも問題を抱えたことによる悩みを共感するだけで、話をしに来て良かった、と言って頂いた方々がいたことには、こちらが救われました。今回ひとつのテーマでもあった「傾聴」がどれだけ大切かということを実感しました。
 

また、復興は時間が経てば勝手に進んでいくのではなく、多くの人々の多大な尽力によって初めて実現するということもよくわかりました。お世話になった専門家の先生方の中に、専門分野の知識を活かした活動だけでなく、瓦礫処理活動にも以前に何度か来られていた方が多かったことには、正直私は驚かされました。センセイと呼ばれる人々は、そういう活動はあまりやりたがらないだろうと、勝手に思い込んでいたからです。また代表の方は、事前に予め石巻の各仮設住宅団地を周り、一つの団地の集まりだけで最低400世帯を超える住宅にもかかわらず、それを4箇所、単独で歩き回りポスティングを行ったと聞きました。福岡が地元の先生が仙台市に自宅と事務所を移し、活動しているという話も聞きました。他にも、別組織や個人で、半年以上石巻に住み込みでボランティアをしている方もいらっしゃいました。そのような話を聞くと、感動し、私自身も一度で活動を終わりにせず、まだまだ活動を続けて行きたい、また、いつか手に職を付けて社会貢献したいという気持ちが湧いてきました。
 

「ボランティアに参加して良かった」という表現は、私は行き過ぎていると思っています。あくまで最高は、災害など起きず、平穏無事な毎日を住民の方々が送ることです。しかし、それが既に起こってしまった今、せめて自分は、災害によってボランティアに参加することとなり、そこから学んだ諸々、先生方にして頂いた様々なお話を財産に、今後に活かさなければと思います。今回の経験を、単なるの経験ではなく、改めて被災地に、或いは社会や世界に少しでも還元していかなくては。そう感じた二日間でした。