富士ビジネスサポート代表取締役横瀬三亀夫氏に「中小企業の海外進出と技術移転」について講義していただきました。

第5回の企業経営研究I(平成24年11月28日)の講義テーマは「中小企業の海外進出と技術移転」でした。講師の方は、富士ビジネスサポート株式会社の代表取締役横瀬三亀夫氏です。講義の内容は、横瀬氏が経験された「企業のグローバル化の実際」「日本企業の生き残る方策」でした。最後には「学生に向けてのメッセージ」をいただきました。概要は以下のとおりです。

 今年の6月まで、リズム時計工業のグループ企業である東北リズム社長を務めていましたので、その際に経験したことを踏まえてお話しします。

 

 

 

 

 

 

企業のグローバル化の実際

 リズム時計工業はシチズングループの一員で、その中でも東北リズムではクロックを製造していました。しかし、現在では、日本でクロックは製造していません。そのほとんどを中国で生産しています。最近は時計の仕事では食べていけません。携帯電話のカメラのレンズに関係した部品を生産しています。これは時計で養った精密機械を生産する技術を生かして部品を生産しています。

 私は銀行からリズム時計工業に入社しましたが、一番驚いたことは、埼玉から横浜に行く感覚で海外の工場に行くことです。製造ラインのトラブルへの対応は翌朝の朝一番の飛行機に乗って現地に行き修正します。そのため、工場で働く職人の方も全員パスポートを持っています。

 企業は世界中のどこで儲けても良く、日本で儲からなくなればアメリカやヨーロッパに進出します。進出する国が経済成長しているか、マーケットが大きければ良いのです。つまり、マーケットの成長を自分の企業の成長に取り込むために海外進出します。例えば、10年前には、中国への進出は、製品を安く作るための生産拠点として賃金が安いことを理由に行われてきました。しかし、現在では、賃金が上がり、ベトナムやインドネシアへ生産拠点は逃げています。また、現在は、東日本大震災の影響で電気代が上昇し、さらに、円高です。そのため、日本の製品が売れなくなっています。企業経営では、為替相場が円高になると、製品の価格が上昇するので、日本では製品を作ることができなくなり、海外に進出するしかありません。

 

 

 

 

 

 

日本企業が生き残る方策

 技術流出にはいくつかのレベルがあります。ベトナムに進出した場合には、工場に材料や部品を納品する協力会社が必要になります。その協力会社に技術支援をすると、しばらく後に日本のライバル企業になります。この技術流出は止まりません。問題となっていることは別のことです。国内企業の技術者がリストラに合うとサムスン等に行き、その企業の技術の底上げをします。技術は人間が持っているので、人間が居なくなると企業に技術がなくなります。技術が海外に流出すると国内の下請中小企業仕事がなくなります。そのためにはどうしたらよいかは簡単で、海外の人に負けないほど勉強するしかありません。海外に依存せずに仕事ができるようになるしかありません。

 

 

 

 

 

 

学生に向けてのメッセージ

 自分は銀行に就職し、その銀行は二度合併をし、リストラも経験しました。大企業であっても安定はしていません。最後は個人、自分の個性で、自己実現や社会貢献することが重要です。産業構造が変化する中で自分の力で何かを成し遂げる気概を持つことが重要です。学生時代には、是非、英語だけは勉強して下さい。ビジネスの世界で使う英語は別です。難しい英語ではなく、海外に行きコミュニケーションできる英語が重要です。そして、日本の文化といった、海外に行って話す内容のことを大学時代に勉強しておくことです。高校卒の工員でも、一人で空港に行きホテルにチェックインすると言う英語のために、会社で英語の時間を儲けています。

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