"心はどこにある?"――1年生のイメージ

心理学は「心」について学ぶ学問ですが、あらためて“「心」って何だろう?”と問われたら、みなさんはどのように答えますか?

 

実践心理学科に入学したばかりの1年生に、「心はどこにあると思いますか?」と聞いてみたところ、一番多かったのは「脳」でした。

 その理由は「考えるのは脳だから」「そこから感情を表していると思うから」、また「脳から伝達される情報の中に感情などの心といわれる情報もその中に含まれていると思うから」という、ちょっと専門的な意見もありました。

めざましく発達している脳科学の考え方が、詳しくは知らなくても、私たちの素朴な感覚に影響を与えているところもあるかもしれません。

 

 「脳」に次いで多く挙げられていたのは、「心臓」や「胸」でした。

「悲しい時は胸は重くなるし、楽しい時はドキドキするから」

「命と同じくらい大切だから」

「なんとなくそんなイメージ」

「大切なところだから」

「脳」と答えた場合よりは漠然とした感じもありながら、より実感をもって感じられるのが「心臓」ということでしょうか。

 

 「脳」か「心臓」かどちらとも言えない、どちらもあり、という人もいました。

「脳か心臓。どちらも生きる上での大切な部分で、感情とかそういうものも同じくらい大切だと思うから」

「脳に近いところにも心臓に近いところにもありそう。感情から笑うにも怒るにも、その時、体を動かすのは脳だから」。

脳や心臓に「近いところ」という感覚も、なかなか興味深いところです。

 

 この他、こんな意見もありました。

「目や耳。見たり聞いたりして感じるから」

「体全体にある」

「どこにでもある。感情が表れるのはどこにでも表れると思うから」

これもおもしろい見方ですね。

「脳」や「心臓」は、そこが発信源や司令塔のようなイメージもありますが、「どこにでも」となると、チーム(?)全体で動いているような感じでしょうか。

 

 次の意見はどうでしょう。

「他人(他人に左右されるから)」

「自分の内面にある。全部外側に出せている訳ではないので」

 この2つは正反対のようで、目にみえにくいところに心のありかを考えている点は、少し似ているかもしれません。

 

 “心はどこにあるか”、様々なイメージがありましたが、このどれが唯一の正解ということはありません。どれもが“心”のある側面を言い当てていると思います。

 また、いろいろな場所が出ましたが、心を「感情」とむすびつけているところは共通していたようです。

“心とは感情のこと”と考えるのも、私たちの自然な心かもしれませんね。

 

ただ、「心理学」には本当にいろんな考え方があり、大学に入って勉強を始めると、「え、これも心理学?」「イメージしてたのと違った!」と戸惑うことも多いようです。

 でもそう思いながら授業に出ていると、だんだん「こういうのもありかも」と、新しいおもしろさを発見していったりもしています。

 

 みなさんも、どうぞいろんな心理学に出会って、考え方の幅を広げながら、自分にフィットする心理学もみつけていってくださいね。

 

 

 



 

(1年生のゼミで合宿をした時の写真です)