2020年5月アーカイブ

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 いよいよ緊急事態宣言が解除されましたね。今まで色々とがまんをしていた分、パーッと発散したい!という気持ちをもっている人も多いことでしょう。友だちと会ったり、遊びに行ったりということを始めている人もいることでしょう。

 久しぶりの自由で心が解放されて、自分の欲望が暴走気味、という人もいるかもしれません。ちょっと待って!そんな中でも意識して生活習慣を整えることが、心のメンテナンスには大切です。今日は生活習慣リズムと心の病(特にうつ病)の関係をお話していきます。実践心理学科は心について探求していくところですが、心と体は私たちが考えているよりも強く結びついているのです。

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 変化に柔軟に対応できる精神的な強さを身につけるためには、実は毎日の生活習慣を整えることがとても重要です。健康的な生活習慣のつみかさねは毎日によいリズムをもたらします。人はそれを土台として、ストレスに立ち向かうことができるのです。逆に、ストレスへの対処の仕方を誤ると、うつ病(※)や依存といった健康ではない習慣につながったり、家族の不和やDVを引き起こす元ともなります。

 ※落ち込んだり気分が暗くなる、といった経験は誰にでもあるものですが、それがずっと長く続き、気分が晴れることがほとんどなくなってしまうのがうつ病という病気です。激しく落ち込んだ気持ちと極端に浮かれた気持ちが交互にやってくる、双極性障害(躁うつ病)というのもあります。うつ病は8人に1人が一生のうちに発病する身近な病気である一方、深刻化すると時には命にもかかわる危険な性質をもっています。ただ、治らない病気ではありませんし、予防することもある程度は可能です。

 以下、睡眠・運動・食事にわけて生活習慣と心との関係をお話していきます。

睡眠

 うつ病と密接に関わる生活習慣として、睡眠があげられます。不眠症状をもつ人がうつ病を発症する確率はそれ以外の人たちよりも高いのです。うつともっとも縁遠いのは、睡眠時間6時間以上8時間未満の人という調査結果も出ています。逆に寝すぎもよくありません。12時間以上寝る人たちもまた、うつの発症率がそれ以外と比べて高いのです。睡眠は、有害刺激への脳の過敏な反応を和らげ、気分を安定させてくれます。たとえ目覚めが悪いとしても、きまった時刻にベッドを出て、日の光を浴び、身体を動かしたり飲食したりすることで、身体のリズムが整いやすくなり、ストレス耐性が向上します。

運動

 よく寝るためには、適度な運動も重要です。運動は気晴らしとして精神的なリフレッシュ感をもたらすだけでなく、運動後のリラックスで疲労がリセットされたり、緊張がゆるみます。難しく言うと、運動は交感神経を緊張させ、その後の疲労は副交感神経を優勢にするのです。運動は食事とも関係します。運動により筋力維持と胃腸の働きが促進され、生活習慣病を予防することができるのです。強い運動である必要はありませんが、意識的に体を動かすことはとても重要です。入浴にも似たような効果があります。

食事

 きまった時間の朝食は腸を動かし、決まった時間に寝起きすることと同様に体内時計のリセットに貢献します。また、人と一緒に食事をとることが、他者とのつながりを維持し、孤独感を和らげます。食事の内容も心と関係しています。繊維質の食品を摂取して便通を整えることで身体ストレス反応のひとつである胃腸の不調をやわらげることができます。また、脳の活動には糖分が不可欠です。とりすぎや急激な血糖値の上昇に気をつけて、健康的な糖分補給を行って脳を活発に動かしましょう。

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 健康的な生活習慣をキープするのは、ときには難しいかもしれません。毎日、絶対に習慣を乱さないように、と固く考える必要はありません。ときどきは乱れてしまうけれど、それ以外の時はだいたい守れている、というペースを保っていけるといいですね。ここ最近、全体的にうまくいかない、という場合も、生活習慣の見直しから始めてみると、案外うまくいくかもしれません

実践心理学科からのメッセージ(1)はこちら

 

 いよいよ緊急事態宣言の解除が近づいてきましたね。「不要不急の外出は控えてください」と言われてからもうずいぶんたちますが、みなさんは毎日をどのように過ごしていますか?

 2年生以上のみなさんは、大学での授業だけでなく、サークル活動やアルバイトがなくなって、日常の生活習慣に狂いが生じているのではないでしょうか。そして、緊張し、ストレスをためているのでは。いつもであれば友だちとおしゃべりをしたり、運動をして気分転換ができるのに、それもままなりません。

 新入生のみなさんは、高校の友だちとの別れを十分に惜しむこともできず、せっかく始まった大学生活でも、新しい友だちを作る機会をもてないまま、それでもがんばって、毎日の授業課題にとりくんでいることと思います。

 いろいろな不自由なことについて、コロナのせいだからしかたがない、と頭ではわかっていても、やっぱり気持ちはつらいまま。気持ちの整理をつけようにも、誰かに相談することすら難しい毎日です。知らない間に暴飲暴食をしてしまったり、逆に全く食べなくなったり、ゲームやYouTubeの閲覧をついついやりすぎたり、といったことになっているかもしれません。

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 心理学では、ストレスに対応しようと私たちが意識的にとる様々な行動をグループ分けし、それらをコーピング(対処方略)と呼んでいます。コーピングは以下のように分類できます。

  • 問題解決型コーピング:自分がいま抱えている問題に正面から取り組んで解決しようとする対応のしかた。関連情報を集めたり、人に相談するなど。
  • 情動焦点型コーピング:問題によって生じた辛さや嫌な気分をやわらげることを重視した対応のしかた。友達に話したり、外に出したりして整理・発散するなど。
  • 認知的再評価型コーピング:問題に対するとらえかたや見方をポジティブな方向に変えたり、距離をおいたりするなど、問題のとらえかたを変える対応のしかた。ポジティブシンキングなど。
  • 回避型コーピング:問題から目を背けたり、問題が生じていないように対応するしかた。不安なときには生じやすいが、「どうせやってもだめだからやらない(無気力)」や「何かすると、よくない結果になるに決まってる(絶望感)」という気持ちにつながりやすい 。

 このコロナ禍では、問題解決型や情動焦点型、認知的再評価型のコーピングをとることが難しくなっています。その結果、回避型コーピングが増えてしまい、家ですぐにできてくりかえしやすかったり、その場で簡単に楽しめることを無自覚に選び、それに依存してしまう、ということになってしまいがちです。

  では、どうしたらいいのでしょうか。ここでは、自己効力感というキーワードに注目していきましょう。 

 自己効力感というのは、色々なことを自分がある程度うまくやれている、という感覚のことです。これまで日常生活を大きな問題なく過ごしていた人は、その中で知らない間にこの自己効力感を高めることができていました。しかし、コロナ禍では、自分が問題なく生活できているかが明確ではなくなっているために、不安を感じ、自己効力感が得られにくくなっています。

 こうした状況では、嫌なことは見ない/聞かない/しないといった回避的なコーピングが出現しやすくなってきます。上のリストで上げた無気力や絶望感も自然に湧き出やすくなってきていて、本当は色々なことができるはずなのに、それに気づくことができずに委縮しがちになってしまいます。

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 こんなときには、あえて友だちや家族、仲間とのつながりを確かめることが重要になってきます。オンライン上で友だちと連絡をとってみたり、工夫して健康な方法での気分転換に挑戦してみたり、これまで時間がなくてやり残してきたことに取り組んでみるなどして、新しい生活習慣をつくることを意識してみましょう。それらを通じて、失っていた自己効力感が少しずつ戻ってくるでしょう。

 大丈夫。みなさんにはこの大変な状況を乗り越える力が備わっています。時間がたてば、「あの時は大変だったねえ」と、時には笑ってふりかえることもできるでしょう。

みなさん、こんにちは。実践心理学科です。自宅学習が続いていますが、いかがお過ごしですか?

新入生のみなさんも、在学生のみなさんも、いつもとは違う生活に慣れてきたと思う反面、疲れがたまってきたということもあるかもしれません。ちょっと長くなりますが、実践心理学科の先生が、新型コロナのもたらす身体的・心理的影響についてまとめてくださいました(監修:小川 恵先生)。ぜひ読んでみて下さい。

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新型コロナウィルスによって私たちの生活が大きく変わるより前、私たちの毎日のルーチン(毎日の決まった活動、日課)は、知らないうちに私たちに健康な生活を提供していました。

  • 朝、きまった時間に起きて朝食をとること⇒体内時計をリセット
  • 通学、通勤で体を動かすこと⇒腸を動かしてお通じを整え、深い眠りをもたらす
  • 学校生活で頭や体を使うこと⇒適度な疲労をもたらす
  • ほかの人と話すこと⇒自己効力感を高め、孤独を防ぐ (自己効力感:自分が色々なことを問題なくやれる、という感覚)

このように、私たちが日頃なにげなくやっていたことは、生活習慣にリズムを与え、健康で幸福な生活をもたらしていました。

一方、新型コロナウィルスによって、いま私たちの生活は、大きく変化しています。以下のことはみなさんの身に起きていませんか?

  • 家にこもりきりになって動かず、疲労を感じにくくなっている
  • 疲労を感じないので眠気も生じない。夜更かししてさらに朝寝坊になるという悪循環に陥っている
  • 運動不足と情報被ばく(大量の情報にさらされること)によって眠りが一層浅くなっている
  • 甘い、塩辛い、油ものを好むように味覚が変化している
  • 気分を紛らわせるためにお酒を飲んだりゲームをして長時間過ごしている

このように生活習慣が乱れることで、以下のようなストレス反応が生じることがあります。忘れていた、または考えないようにしていた自分自身がかかえている問題や課題に注意が向き、不安になったりつらい気持ちになることも増えているかもしれません。

  1.    身体症状(睡眠障害・胃腸症状・動悸・易疲労感・頭痛・肩こり)、
  2.    自律神経症状(気持ちが落ち着かない・イライラ・せかせか・怒り、抑うつ)
  3.    精神的反応:急性反応(高揚感・離人感・疎隔感、恐怖感・不安・過敏)
  4.    精神的反応:持続的反応(孤独感・無力感・自責感、考えたくないし、話したくない)

ここまでにあげた反応は、この状況下でたくさんの情報にさらされているときには自然なものです。その中で健康であるためには、自分のメンタルの健康さを自分でチェックし、対処するリソース(知識や行動)を積極的に使うことが重要です。

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 実践心理学科は、このブログを通じてコロナ禍と呼ばれるこの状況に向き合います。そして、様々なことが限られた現状で、健やかに暮らすための心理学的な情報提供を行っていきます。短期集中連載という形をとるので、ぜひ目を通してみてください。

 まずは、上に書いたことが自分に当てはまるかを考え、現在の自分を把握することからはじめましょう。

千葉キャンパスの様子

 2020年度が始まりました。 1年生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 千葉キャンパスには多くの桜の木があり、今年もいつもと同じように花をもち、皆さんを迎える準備ができていました。

これは4月の入学式が予定されていた頃のキャンパスの様子です。

桜がとてもきれいですね。

千葉キャンパス4月の様子

 いつもであれば、サークルなどへの勧誘の声、そして、この中庭からは歌声が聞こえ、芝生でランチをする学生

など、とても賑やかなキャンパスとなります。

それから1か月が経ち、キャンパスも色々と変化をみせています。

5月に入り、咲く花も桜からつつじに・・、

そして樹木の新芽も目立ってきて、濃い緑の葉と黄緑の若葉がとてもきれいなキャンパスです。 

千葉キャンパス5月

 学生、教員、職員など、多くの人が行き来するキャンパスですが、今はこのように誰もいません。

 よく見ると、アスファルトの間からもたくさんの新芽がでていました。

千葉キャンパス5月 今は静かなキャンパスですが、早く皆さんと会いたいと思っているキャンパスです。

 テニスコートの横で咲いていた八重桜も、すっかりと葉だけに・・・。

 早く、ボールを打つ音を聞きたいですね。

 今聞こえるのは、風の音と、鳥の鳴き声・・。

千葉キャンパス5月テニスコート 最後に図書館。 ここにも、学生の皆さんが手にとってくれることを待ち望んでいる本がたくさんいます。

 千葉キャンパス5月 今は我慢の STAY HOME! 早く皆さんと会いたいから STAY HOME!  一緒の想いで。