「子ども虐待の理解と対応」について学ぶ―ある高校3年生Aさんの場合(その2)

「子ども虐待の理解と対応」について学ぶ―ある高校3年生Aさんの場合(その2:入学して)

淑徳大学総合福祉学部社会福祉学科教授  柏女 霊峰

2.社会福祉士をめざして

社会福祉学科では、社会福祉士国家試験受験資格の取得を目指して、1年次から専門的な学びが始まります。

講義と演習が中心で、特別養護老人ホームの実習もあります。

Aさんはこれらの学びを進めるとともに、アドバイザーの教員から紹介された児童相談所一時保護所の夜間指導員を始めました。

そこでは、虐待を受けて家庭から引き離された子どもたちを始め、毎日20-30人の子どもたちが2か月を限度として生活していました。

Aさんはその支援体験のなかで、ますますこうした子どもたちの援助に携わりたいとの気持ちを強くしていきました。

2年次生の後期、3年次生からの社会福祉専門研究Ⅰ(ゼミナール)の選考があり、Aさんは、子ども家庭福祉のゼミに入り、子ども家庭福祉を専門に学んでいくことにしました。

 

3.ゼミナールにおける学び

3年ゼミでは同じ思いを持つ15人の仲間が集い、それぞれが自分の目指すテーマの下、レポートを作成し、検討テーマを設けて小グループ討議を進めます。

授業では、児童相談所や児童養護施設などの現場の視察も行いました。

ゼミの年間計画と全員の報告テーマは以下のとおりでした。

Aさんは「児童相談所における被虐待児童の心のケアサービスの今後のあり方」をテーマとし、自分と似た分野を学ぶ仲間に共感するとともに、別のテーマの報告と討論に目を開かされた思いをすることもありました。

ゼミ合宿で、先輩の卒論中間報告を聞いたことも新鮮でした。と同時に、自分もあんな風に作成していけるのか不安にもなりました。

夜の懇親会で先輩の話を聞きながら、児童分野に進む自らの気持ちも固まっていくこととなりました。

その間もAさんは社会福祉士国家試験受験資格を得るための指定科目の履修も進め、8月には、児童養護施設に実習に行きました。

そのことは、自らの将来への思いを決定的にし、児童相談所一時保護所の夜間指導員も続けていたので、児童相談所職員(児童福祉司)として生きていくことに決め、地方公務員福祉職試験を受験するための準備も進めていくこととしました。

 ゼミの年間計画表

1 社会福祉専門研究Ⅰ、Ⅱ年間計画

 

ゼミ活動の様子社会福祉専門研究小グループ討議風景

 

入学して編 終了