「子ども虐待の理解と対応」について学ぶ―ある高校3年生Aさんの場合(その3)

「子ども虐待の理解と対応」について学ぶ―ある高校3年生Aさんの場合(その3:卒業に向けて)

淑徳大学総合福祉学部社会福祉学科教授  柏女 霊峰

4.就職内定、卒業論文の作成と発表

 4年生になると、6月から始まる関東近県・市の地方公務員福祉職試験の受験をしつつ、社会福祉専門研究Ⅲ、Ⅳ、総合課題研究(ゼミナール)の演習で卒業論文の制作に取り組んでいきました。

Aさんの卒業論文のテーマは、3年ゼミで報告したレポートをさらに深めるため、「児童相談所における被虐待児童の心のケアサービスの今後のあり方」としました。

卒業論文作成の傍らAさんは〇〇県の福祉職試験に合格し、地方公務員福祉職として就職することが内定しました。

その年の年末、14:40から18:00まで、柏女ゼミ(「社会福祉専門研究Ⅳ」、「総合課題研究」)の卒業論文発表会が開催されました。

15名すべてが、それぞれの調査・考察と思いを込めた報告を行いました。

発表は学籍番号順に各自10分間とし、発表者は各自発表抄録(A3:1枚)を全員分用意します。

発表内容は、論文の目的、方法、倫理的配慮、構成、設定した仮説と調査の結果、考察のポイント、論文作成の感想を含めます。

3年生は授業の一環として聴講し、その他の方々の参加も自由としています。

大学院生並びに2年ゼミ候補生も複数参加しました。

 15名全員の発表が無事終わると、学生たちから笑顔がこぼれます。

緊張が解けてほっとした瞬間です。

大学院生にもご参加いただいて全員で記念写真を撮りました。

その後は、参加可能な学生たちとともに打ち上げに出かけました。

Aさんも充実した気持ちで懇親会では、大いに盛り上がりました。

 

5.社会福祉士試験合格と旅立ち

 卒業論文発表会が終わると社会福祉士試験をめざす学生たちは、1月末頃―2月上旬週末の試験日に向けて追い込みに入ります。

ここ数年、現役受験生の合格率は50%を超えています。

それでも2人に1人しか合格できないので、気を抜くことはできません。

Aさんも受験しました。そして、試験の翌々日に、3年生による4年生の追いコンもありました。

Aさんは、試験を終えた開放感からか飲みすぎてしまい、友人宅に泊まることになってしまいました。

 315日卒業式の日に、社会福祉士試験合格を知りました。

卒業式を終え、Aさんは、この4年間を感慨深く振り返りました。

思えば、高校3年生の6月にオープンキャンパスで何気なく聞いた「子ども虐待の理解手と対応」の模擬授業が出発点だったのだなと。

そして、ゼミ訓をつぶやいていました。

「自分を大切に生きよう/ 他人(ひと)を大切に生きよう/ 精一杯生きよう」

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卒業に向けて編 終了