7月22日配信ブログ(https://www.shukutoku.ac.jp/extra/seisaku/blog/2020/07/post-335.html)でご紹介のとおり、1年生向け必修科目では、対面授業が叶わない中、オムニバス形式で各先生が自身の紹介と専門分野を交えた課題提示という形で授業を展開してきました。
本シリーズ第2回目は「国民総幸福量(GNH)」についてです。
ブータンという国は、経済的な豊かさではなく、国民全体の幸福量(Gross National Happiness)を高めることをめざしています。ただし、「幸福」はどのように計測したらよいのでしょうか?ブータンGNH研究センターでは「幸福」を9つの指標(分野)で捉えようとして、その1つを「地域の活力(Community vitaliry)」としています(他の8つは、生活水準、健康、教育、良い統治、生態系の多様性とレジリエンス、時間の使い方、心理的ウェルビーイング、文化の多様性とレジリエンスです)。
「9つのなかで最も重要な1つ」をあえて選んでもらったところ、時期(5/22)の影響がおそらく大きく「健康」と「心理的ウェルビーイング」が最も多かったものの、9つすべてが選ばれる多様性のある結果となりました。
さらに余裕のある人には発展的な課題として、「幸福」とは何かを考えるうえで大事な「地域の活力」を具体的にどのような質問で測っているかを、ブータンGNH研究センターの報告書にあたってみることを勧めました。最新の調査では、地域のボランティア活動(清掃や募金)の頻度、地域の人同士の助け合いやお互いの信頼度、日没後に一人で出歩いても不安を感じないか等の質問で測られています(詳しくは、ブータンGNH研究センター作成の報告書のp.317-320(http://www.grossnationalhappiness.com/wp-content/uploads/2017/01/Final-GNH-Report-jp-21.3.17-ilovepdf-compressed.pdf)をご覧ください)。
もちろん、こうした調査項目が唯一の「正解」ではありません。大学での学びは、知識の範囲を(鵜呑みにして)広げることよりも、自分のこれまで得た知識が他の知識とどのように関連しているかを発見したり、既知の知識を別の観点から捉えてその意味を深めたり、知識の「空白地帯」を見つける等、「2階から見る」ように自分の知識の「地図」を作ることが重要です。そのためにも、いろいろなサービスラーニング活動に参加して「壁」にぶつかることを期待しています。(文責:本多)